CCS特集:日本電気

統合分散コンピューティング環境をサポート

 1992.05.17−日本電気は、研究所における統合分散コンピューティング環境「LIMS」の普及に力を注ぐ。これはクライアント/サーバー型の分散処理環境を提供する総合的なシステムで、サーバーはUNIX、クライアントにウィンドウズといったオープンシステムを採用。現在はクロマトグラフィーなどの実験・計測機器からのデータ収集と、それら実験データの解析・管理が機能の中心だが、将来的にはプロジェクト管理機能なども盛り込み、研究所情報システムのインフラとしての体系を充実させていく。

 また同社では、GLP(グットラボラトリープラクティス)関連など、機密性が高く高度な信頼性が要求されるデータについては、UNIXよりもむしろ汎用コンピューターでの管理が必要だとみており、複合的な情報システム環境でのトータルソリューションの提供を心がけていく。

 同社は当初、ACACS、BIOCESなど分子設計支援システムの分野からCCSへの取り組みをはじめたが、これに加えて、実験自動化や実験データ解析などのLA分野、プラントサイトのスケジューリングAIなどのCIM分野、さらにはエンジニアリングOA分野までを包含したトータルコンセプトを描きつつある。

 一方、理論化学計算分野においてはいよいよ国産初の商用ab initioプログラム「AMOSS」のUNIX版(スーパーコンピューターSX-3R用のSUPER-UXに対応)が7月から登場、こちらも注目されるところだ。リリース開始に合わせ、電子状態を高精度に計算するための2次摂動計算、開殻分子系に対応する非制限ハートリーフォック法(UHF)を新たに取り入れた。また、積分計算やSCF計算の高速化を図ったほか、構造最適化機能も強化されている。

 今回は、計算部分だけの商品化であり、これまでのプロプライエタリーなSX-OS版にはあった可視化機能が付いていない。これは、現時点でオープンシステムにおける可視化環境の標準(とくに3次元)が不透明なため。同社としてもAVSエクスプローラーなどの業界標準への適応を図ってはいるが、もう少し時間がかかりそうである。最終的には、いろいろなワークステーションで可視化が行えるようにしていく考えだ。