三菱総研が独インタフェイスと販売提携して海外市場進出

ポリマー設計支援システムEXPODを輸出

 1992.07.10−三菱総合研究所は、ポリマー設計用のCCS(コンピューターケミストリーシステム)でドイツのソフトウエア会社、インタフェイスコンピュータ社(クラウス.M.ミューラー社長)と販売契約を結んだ。三菱総研が1990年9月にマルチクライアント方式で開発したポリマー設計支援システム「EXPOD」(商品名)を、欧州、米国、東南アジアなどインタフェイスのルートを通じてワールドワイドに販売していく。インタフェイス社は知識工学分野の専門ソフト会社で、CCSのアプリケーションソフトを手がけるのは初めてだが、ポリマー設計の専門家をサポート要員として採用するなど、充実した事業体制を築いていく。

 ポリマー設計CCSは、これまで圧倒的に米国製品が市場での優位性をもっているが、計算化学理論に基づいたシミュレーションを中心とする米国製品に対し、知識ベースと経験則に立脚したユニークな考え方をもつ「EXPOD」が海外でどのような評価を受けるか、注目されるところだ。

 「EXPOD」は1989年4月から昭和電工、住友化学工業、東レ、三菱化成の4社を幹事会社とし、40社が参加してのマルチクライアント方式で開発されたシステム。約2,400種のポリマーの情報を網羅したデータベース(DB)と、ポリマーに関する専門家の定性的な知見など数100の知識を収集した知識ベース(KB)をもつ。KBには約50のポリマー物性推算法が登録されており、ディスプレー上に二次元の構造式を描くだけでガラス転移温度や密度、屈折率、光弾性定数、誘電率など13の基本的な物性を求めることができる。また逆に、必要な物性を備えたポリマー構造を推定することもできる。

 サン・マイクロシステムズやヒューレットパッカードのUNIXワークステーションで動作する。

 インタフェイス社は、AI(人工知能)関連のツールで高い実績をもち、「EXPOD」にも同社の「IF/Prolog」といった開発言語が用いられている。三菱総研は、AIのノウハウと世界的な販売網を評価し、インタフェイスを代理店に選定。インタフェイス側も「EXPOD」が国際的に受け入れられる機能をもつこと、独創的な研究から生まれたソフトであることなどを認め、今回の提携に踏み切った。

 契約では、米国を除く世界各国での独占的な販売権が与えられている。すでにドイツ、米国、韓国などの合成樹脂/合成ゴムメーカーにアプローチを行っており、今後、販売・サポート体制を積極的に拡充していく考えだ。