NECがAMOSSの可視化機能にAVSを採用へ

UNIX対応、可視化機能装備で普及拡大目指す

 1992.09.30−NECは、スーパーコンピューターSX-3Rシリーズで利用できる独自のab initio分子軌道法システム「AMOSS」(商品名)の可視化機構を、米国アドバンスト・ビジュアル・システムズ(AVS)社が開発したグラフィックソフトウエア「AVS」を利用して構築する方針を固めた。今年度中に開発を完了させる。AVSは業界標準の可視化ツールで、広範に普及しているため、他社機種を含めた各種のワークステーションから自由にAMOSSを駆使できるようになる。同社はこのほど、AMOSSの初受注を海外であげたばかりであり、今回の可視化機能の提供を機に、普及にはずみをつけたい考え。

 AMOSSは、1990年の秋に国内で初めて商品化された分子軌道法ソフトだが、当初はSXシリーズの独自OS(基本ソフト)にしか対応しておらず、UNIX版(SX-3R対応)は今年の夏から正式にリリースされたばかり。また、これまでは計算プログラム部分のみの提供であり、分子のモデリングや計算のためのデータセット作成などの前処理、また計算結果を可視化し、シミュレーションの理解を助ける後処理部分は用意されていなかった。今回、これら懸案の部分をAVSを利用して実現することにしたもの。年度内の完成を目指して開発を進める。

 AVSは、科学技術計算結果を可視化するための三次元グラフィックス機能をモジュールとしてもっている。これらを組み合わせることで高度なグラフィックス処理が可能になるため、業界標準として内外の多くのワークステーション、サーバーでサポートされている。

 国内でのライセンス元はクボタコンピュータだが、NECはすでにAMOSSにAVSを使用することで合意しており、最終的にはユーザーはAVS本体をクボタコンピュータから購入し、そこへNECから提供される機能モジュールを組み込んで利用する形になる。

 AVSに装備されているクライアント/サーバー型のコミュニケーション機能により、ユーザーにSX-3Rの存在を意識させずに、ワークステーション側から透過的にサーバー上のAMOSSを動かすことができる。これにより、AMOSS自体の操作性が格段に向上するため、普及への大きな要因になるとみられている。