ソニー・テクトロニクスが分子モデリングCACheのパーソナル版

操作性が高く低価格、全世界でキャンペーン展開

 1992.10.01−ソニー・テクトロニクスは、米国CACheサイエンティフィック社が開発したコンパクトな分子モデリングシステム「パーソナルCAChe」(商品名)をきょう1日から受注開始する。三次元で分子構造を組み立てるための分子エディターとフラグメントライブラリー、および分子力場法計算プログラムを内蔵しており、分子の安定配座の探索などに威力を発揮する。同社では新発売に合わせ、開発元と歩調をとって全世界でのキャンペーンセールを日本でも展開。大幅な値引きを実施し、基本構成の「パーソナルCACheイノベーター」(定価91万8,000円)を58万2,000円で、拡張ヒュッケル法の計算機能と可視化システムを加えた「パーソナルCACheイノベータープラス」(同183万7,000円)を116万3,000円で提供していく。また教育機関向けには「同プラス」を22万6,000円で販売。

 CACheサイエンティフィック社は、「パーソナルCAChe」、「CACheワークシステム」、「CACheグループサーバー」からなるラインアップ戦略を推進。今回、エントリーモデルのパーソナルCACheの正式発売に合わせ、戦略価格で一気に市場を広げる作戦に出た。キャンペーンは来年の1月末までで、期間中に世界全体で500システムの販売を見込んでいる。

 パーソナルCACheは、アップルのパソコン、マッキントッシュ(マック)で動作する分子モデリングシステムで、マックのユーザーインターフェースを利用した高い操作性が特徴。とくに、独自のユニークな3Dカーソルと3Dトラックボールを標準装備しているため、三次元のリアルイメージで分子モデルの入力・編集・解析・可視化が行える。オプションの立体視機構を接続すれば、立体視のままで一連の処理が可能になり、臨場感が増す。

 同社から提供される分子力場法と拡張ヒュッケル法は、周期率表の全元素をサポートしており、有機化合物だけでなく無機化合物や有機金属も計算対象とすることができる。

 マック内部にRISCプロセッサーボードを装着することにより、分子軌道法や分子動力学法のシミュレーションも可能な「CACheワークシステム」へのアップグレードが可能なほか、IBMのPOWERステーションベースの「CACheグループサーバー」(11月末をめどに提供開始)と組み合わせてネットワークワイドなクライアント/サーバーシステムにも発展していける。