R&D支援技術特集

ケイ・ジー・ティー(KGT)

 1998.05.25−ケイ・ジー・ティー(KGT)は、米モレキュラーシミュレーションズ社(MSI)の統合分子設計支援システム「CERIUS2」などを中心に、化学・材料研究分野の支援システムを提供しているが、とくに大きな分子系を分子軌道法で厳密に解いてみたいというユーザー向けに新しく米キューケム社の「Q-Chem」の販売を開始している。従来のソフトでは難しかった実際的な大きな分子を計算できるのが特徴で、幅広いユーザー層の注目を集めている。

 Q-Chemは、フォック行列計算およびクーロン相互作用計算にONX法、QCTC法、CFMM法などの最新アルゴリズムを採用することで、計算量を電子の数の1乗にまで軽減することに成功。分子が大きくなっても計算効率が落ちないので、大きな分子を計算させるほど価値の高いシステムとなっている。

 一般的な分子軌道法では、計算量は電子の数の3−4乗にもなってしまうため、これまでは対象となる分子全体の一部分だけを切り出して計算したり、精度を犠牲にして半経験的手法を導入したりするなどの“妥協”が必要だった。

 同社では、今年の3月から本格的に国内で紹介を始めたが、CERIUS2などの既ユーザーも興味を示すケースが多いという。

 ただ、Q-Chemが非常に高速だとはいえ、本格的に分子軌道法を利用するためには、やはりある程度大型の計算専用サーバーの設置が望ましい。同社は、クボタグループの情報事業子会社としてコンピューターのハードからソフトまでを長年手がけてきた経験があり、そうしたノウハウを生かしてのシステムインテグレーション(SI)で強みを発揮していきたい考えだ。