菱化システムがニューラルネット型CCSで新展開

金融などビジネス分野への応用狙う

 1998.10.13−菱化システムは、合成ゴムなどの配合問題を扱うニューラルネットワーク型のコンピューターケミストリーシステム(CCS)である「CAD/Chem」(商品名)の適用範囲を拡大し、金融などのビジネス分野への展開を図ることにした。このシステムは、米AIウエア社が開発したもので、93年から同社および代理店のアダムネットを通じて国内で販売され、これまでに約200本の実績をあげている。ニューラルネットとして汎用的な機能を持っているため、開発元では最近はさまざまな分野への応用展開を進めており、ビジネス分野での実績が増えてきているという。そこで、国内でも同様に新しい市場に対して売り込みをかけていく。

 CAD/Chemは、実験データなどの入力条件と出力結果を学習することによって、その間の因果関係を自動的に解析してニューラルネットワークを構築。そのニューラルネットを利用することで、新しい条件に対する結果をあらかじめ予測する機能を実現することができる。

 合成ゴムや塗料など、原料に各種の添加剤を加える製品分野で、それらの配合量や配合比が最終製品の物性にどのように影響するかなどを予測し、配合設計を最適化するなどの問題に多用されてきた。

 最近のビジネス分野の実績としては、米国の小切手認証会社に採用された例がある。これは、偽造小切手や不渡り小切手による損害を防止するため、店頭で顧客が使用する小切手に問題がないかどうかをオンラインで即座に判断し通知するサービス。契約小売店から収集した大量のトランザクションデータを利用し、小切手の使用日時や店舗番号、小切手使用回数、口座残高、年齢、購入品目など数10項目のデータを学習させたところ、わずか40時間で既存システムの判定制度に匹敵するモデルが作成できたという。

 そのほか、天候や季節変化にともなう市場予測、顧客満足度の予測と最適化の問題などでも実績があり、菱化システムではこれらを材料に化学以外の分野にも提案活動を行う。