米シミュレーションズプラスがCAPコンソーシアム

コンピューターでADME予測、TSTが募集開始

 1999.06.17−帝人システムテクノロジー(TST)は、米国のコンピューターケミストリーシステム(CCS)ベンダーであるシミュレーションズプラス社が今秋をめどにスタートさせる医薬品開発のためのコンソーシアムメンバーの募集活動を開始した。分子設計の段階で重要な薬理活性をあらかじめ予測し、候補化合物を絞り込むことを目指したもの。メンバーから実際の化合物の提供を受け、それらを分析試験にかけて測定した物性値データをもとに予測のアルゴリズムを確立していく。いままでにないユニークなスタイルのコンソーシアムであり、世界の大手製薬メーカーが関心を示しているという。

 シミュレーションズプラス社は、分子構造から人間の消化管での薬物吸収・体内動態を予測するCCSソフト「GastroPLUS」を開発したベンダー。今回のコンソーシアムはこれら新薬開発に役立つ重要物性をさらに多く予測できるようにすることを目指している。

 コンソーシアムの名称は「CAP(コンソーシアム・フォア・ADME・プレディクション)」。予測を確立することを目標にしている物性は、溶解度(pH 2および7.4)、化学的安定性(pH 1および7.2)、logD(脂溶性、pH 7.4)、pKa、人の膜透過係数(pH 5.5および7.2、2種類の濃度)、P−糖たん白(2種類の濃度)、代謝特性(代表的な5酵素、2種類の濃度)−の大きく7つ。

 コンソーシアムメンバーは、1社につき100種類の化合物を提出し、各項目に関するその測定データを受け取ることができる。分析を担当するのは大手受託試験機関の米アブソープションシステムズ。シミュレーションズプラスはこうして集めた情報を利用して予測ソフトをつくり上げ、メンバーに提供する。費用は年間約1億円だが、100サンプルの分析コストだけで十分におつりがくるという。

 日本ではTSTが窓口になってメンバー募集を開始しているが、欧米では数社がすでに名乗りをあげているようで、初年度には世界で約10社の参加を見込んでいる。