MSIがフォーミュレーションコンソーシアムをスタート

食品・化粧品など混合物の問題を解決

 1999.09.30−コンピューターケミストリーシステム(CCS)大手の米モレキュラーシミュレーションズ(MSI)はこのほど、化学や化粧品、食品などの分野で混合物や配合の問題を扱うためのナレッジマネジメント技術の開発を目指すプロジェクト「フォーミュレーションコンソーシアム」をスタートさせた。ユニ・リーバが最初のメンバーになっているほか、年内に4社、来年にかけてさらに10社程度の新メンバーを募っていく。配合設計は職人芸的な色彩が濃く、そうした専門知識がうまく共有されないという問題がある。同コンソーシアムでは、CCS技術と組み合わせて配合設計のための統合的なデザインツールを開発していく。実施期間は2002年6月末まで。

 今回のコンソーシアムは、実際にはユニ・リーバの要望によって立ち上げたものとみられる。ユニ・リーバはアイスクリームから洗剤まで幅広い製品を有しているが、各製品の配合設計は世界各国の拠点でばらばらに行われている。というのも、例えば国によって洗濯機の種類や洗剤に求められる性能が異なっており、ある国での処方が他の国の市場では通用しない場合が多いためだという。

 ところが、実際には新しい配合設計を試みる段階で、すでに別の国で行われていた試行錯誤を知らずに繰り返していたり、他の国の事例が参考になるケースが意外に多かったりするということがわかってきた。このため、ユニ・リーバではMSIの技術を使って全世界で共通のフォーミュレーションのための支援システムを構築することを決めた。コンソーシアム形式は、ユーザーにとっても開発費用を分担できるコストメリットがある。

 開発するシステムは「FAST」(フォーミュレーション・アシスタント・ソフトウエア・ツールキット)と呼ばれ、配合設計から機能予測や最適化、統計解析、実験データの統合まで一貫した処理が行える。混合物の成分を選択し、その組み合わせによって期待される機能を予測、いくつかの候補の配合案を絞り込んだのち、市場ニーズに合わせて最善の候補を決定することができる。

 MSIがコンソーシアムで開発するのは一般化されたツールだけで、その後のきめ細かな要望にはコンサルティングやシステムインテグレーションサービスを通じて対応する。