米MAGが解散、全事業を売却

菱化システムも販売中止へ

 2000.02.01−バイオインフォマティクス関連のコンピューターケミストリーシステム(CCS)ベンダーである米モレキュラーアプリケーショングループ(MAG)が数ヵ月以内に解散することが明らかになった。製品群は昨年末までに他のベンダーに売却されており、今年からはすでに活動停止の状態にある模様。国内では、菱化システムが総代理店を務めているが、MAGとの間で既存ユーザーへのサポートを継続できるよう話し合いはつけたという。新規の販売はもう行わない方針。

 MAGは1993年に設立されたCCSベンダーで、大量のゲノムデータを新薬開発に役立てるためのソフトウエア技術の開発に集中していた。

 製品群は大きく三つに分かれ、ゲノムから遺伝子とたん白質の機能を決定するためのソフト「パンサー」、アフィメトリックスの遺伝子チップ専用の解析ツール「スティングレー」、遺伝子およびアミノ酸、たん白質を解析するための総合ツール「ジーンマイン」がある。

 このうち、パンサーは米セレーラ社に売却された。セレーラはヒトゲノム解析を国際プロジェクトよりも早く進めていることで知られたバイオベンチャー。パンサーは、遺伝子配列のホモロジー探索を行い、その遺伝子がどのような生物学的パスウェイの影響を受けているかを生物種を横断して調べることなどを通じて、たん白質機能を正確に分類することを可能にする機能を持つ。セレーラと契約しているユーザーはパンサーを自由に利用できる。

 MAGのパンサー開発チームもすでにセレーラに移動している。

 一方、スティングレーは、アフィメトリックスのジーンチップ専用ソフトであるため、アフィメトリックスに買い取られた。発現レベルに基づいて遺伝子をグループ化する高度なクラスタリングアルゴリズムを持つなど、以前から機能性が評価されていた。

 また、三つ目のジーンマインについては、開発者のクリストファー・リー博士が個人的にアカデミックユーザーのみをサポートしていく模様。国内にはジーンマインユーザーが多いが、民間に対しては菱化システムがサポートを継続することで合意した。ただ、民間向けにバージョンアップなどが行われる可能性は少ないようだ。