米ファーマコピアが英シノプシスを買収

MSIに続いてCCSベンダーを傘下に

 2000.03.27−米国の創薬ベンチャーであるファーマコピア社は、英国に本拠を置くコンピューターケミストリーシステム(CCS)ベンダーであるシノプシス・サイエンティフィックシステムズ社を買収した。買収額は約2,500万ドルになり、1998年2月に1億4,000万ドルで買収した米モレキュラーシミュレーションズ(MSI)に続いて、CCSベンダーを傘下に収めたことになる。MSIが分子モデリング/計算化学を得意としているのに対し、シノプシスはケムインフォマティクス領域で実績をあげており、CCS技術としても相互に補完できる関係にある。CCSを巡っては、年初から買収・再編が連続しており、今年は激変の年となりそうだ。

 ファーマコピアは、93年に設立されたコンビナトリアルケミストリー技術のリーディング企業の一社で、最近では新薬ターゲットの識別から臨床試験の実施に至る新薬開発プロセスの全体をフルサポートする戦略を打ち出している。

 計算化学による伝統的な分子設計技術を核に、バイオインフォマティクス領域まで手を広げているMSIに続き、ケムインフォマティクスに強いシノプシスを買収したことで、ファーマコピアの統合構想はかなり完成に近づいたと考えられる。

 シノプシスは、化合物データベース(DB)ソフトウエアとDBコンテンツ、インテグレーションサービスなどを提供しており、同社の製品は医薬、バイオ、ファインケミカル、農薬などの研究に使われている。とくに、オラクルやマイクロソフトなどのメジャーなDB管理システムをベースにしているのが強み。売り上げ規模は約300万ドルだった。

 国内では、住商エレクトロニクスやエルエイシステムズがインテグレーターまたは代理店を務めている。また、富士通がCCS製品の欧米の販路としてシノプシスを代理店に起用している。

 ファーマコピアとしては、コンビナトリアルケミストリー/ハイスループットスクリーニング(HTS)技術を普及させるにともなって、ユーザーが研究の中で取り扱うケミカルデータが爆発的に増大してきているため、それをシノプシスの技術でうまく管理させたいという狙いがある。

 今後、シノプシスはファーマコピアの子会社として、ライフサイエンスグループの下に置かれることになる。シノプシスのグレン.A.ホプキンソン社長は、ファーマコピアのライフサイエンス・ケムインフォマティクス部門の副社長に就任し、MSIの社長を兼ねているファーマコピアのサイード・ザラビアンCOOにレポートすることになる。MSIとの連携が強化されるともみられ、将来的には国内CCSベンダーとの提携関係に変化が生じる可能性もある。