日立製作所がプロテオミックスサービス事業に進出

米ミリアドジェネティックスから技術導入

 2000.05.17−日立製作所のライフサイエンス推進事業部は、米ミリアドジェネティックス(ピーター・メルドラム社長兼CEO)とプロテオミックス(たん白質機能解析)サービス事業で提携した。ミリアド社が持つたん白質ネットワークの網羅的探索技術“ProNet”の日本における独占的実施権、およびたん白質/たん白質相互作用データベースを、日立は3年間で28億円を投じて取得し、それに基づいたサービスを国内の医薬品会社向けに提供していく。

 今後の創薬研究においては、薬が作用する生体組織側のたん白質、および特定の病気に関係した一連のたん白質群の同定がきわめて重要になると考えられている。ミリアド社のProNetは、ゲノム情報に基づいて疾病の発症に関連するたん白質間のネットワークを網羅的かつ迅速に解析できる“イースト・ツー・ハイブリッド技術”をベースにしたソリューションシステム。

 この技術は、特定のたん白質を“餌”として酵母細胞内で生産させるとともに、cDNAライブラリーから得られる各種たん白質を“獲物”として同一細胞中で発現させ、両者が相互作用する場合にのみリポーター遺伝子が発現するようにしたもの。新しく見いだされたたん白質を新たな“餌”とすることで、それに相互作用するたん白質をさらに検出できるので、これを繰り返すことにより生理学的パスウェイを調べることが可能。例えば、細胞内の信号伝達系、細胞分裂、アポトーシス、発がん、老化などにかかわる一連のたん白群とそれらの間のパスウェイ/ネットワークを検出できるという。

 日立は、このProNetを使って製薬会社からの解析依頼に応えるとともに、たん白質/たん白質相互作用データとそれにリンクしたアノテーション情報を付加したデータベースの閲覧サービスを提供する。

 同社は、昨年10月にライフサイエンス推進事業部を設立し、これまでに遺伝子配列解析サービス、遺伝子多型解析サービス、遺伝子発現解析サービス、ゲノム情報の解析・検索・予測ツールの提供やデータベース構築などの総合サービスを提供してきている。今回の提携もそのメニュー充実の一環である。