KGT:材料設計CCS製品群を強化

ウィンドウズ版マテリアルスタジオなど発売へ

 2000.06.27−ケイ・ジー・ティー(KGT)は、材料設計を中心とした計算化学/分子モデリングシステムの専門ベンダーとして長年の実績を持っており、引き続きソリューション志向の事業展開に力を入れていく。とくに、最近では量子化学計算分野の製品群を強化しており、ニッケル水素二次電池やリチウムイオン二次電池の材料開発など、先端領域での活用事例が広がってきている。

 同社の取り扱い製品のなかでは、米モレキュラーシミュレーションズ(MSI)の「CERIUS2」がメインになるが、MSIは将来的にはプラットホームをパソコン/ウィンドウズ環境へシフトさせることを表明しており、このほどその第一弾として「マテリアルスタジオ」が製品化された。

 負荷の大きい計算はUNIX、Linux、ウィンドウズNTサーバーに分散させることもできるが、クライアントはウィンドウズ95/98/NTで動作し、エクセルやワードなどのオフィスソフトと簡単に連携して報告書をまとめることが可能など、日ごろから実験を手がける一般の研究者にも使いやすいシステムとなっている。CERIUS2はプラットホームがSGIのUNIXワークステーション中心になるなど、手を出しにくかったユーザーも実際には多かったわけで、マテリアルスタジオの発売によって今後は利用者の裾野が大幅に広がると期待される。

 間もなく出荷開始される日本語版は、結晶、ポリマー、アモルファス材料のモデリングが可能で、分子動力学法のDISCOVER、独自の力場を持つCOMPASSなどのソルバーが用意されている。年末に予定の次期バージョンでは第一原理分子動力学の「CASTEP」、密度汎関数法の「DMol3」がウィンドウズ版のプログラムとして登場する。

 材料設計分野のシステムを総合的に開発しているベンダーはいまやMSIだけであり、マテリアルスタジオの機能拡張が急ピッチで進められることが望まれるところだろう。

 一方、米キューケムの非経験的分子軌道法「Q-Chem」はGaussianよりも高速で、大きな系を計算できるプログラムとして注目されている。今年の夏の終わりごろには最新版のバージョン2.0がリリースされる予定であり、10月にはセミナー開催を計画している。

 Q-Chemのグラフィック環境としても利用できる加ハイパーキューブの「HyperChem」も最新版の6.0が提供されているが、こちらはパソコン版としての特性を生かして教育分野などへの展開に力を入れている。