米トライポスがスポットファイヤーと提携

創薬支援でウェブベースの統合ソリューションを提供

 2000.05.08−コンピューターケミストリーシステム(CCS)大手の米トライポス社は、データマイニングツールの米スポットファイヤー社とパートナー契約を結び、コンビナトリアルケミストリー/ハイスループットスクリーニング(HTS)技術を利用した新薬の研究開発で発生する大量の実験データを効率良く解析するための統合ソリューションの提供を開始する。わかりやすいウェブベースの単一の操作環境でデータ解析からレポート作成、デシジョンメーキングまで簡単に行えるのが特徴で、トライポスはパッケージ販売ではなくシステムインテグレーション(SI)事業の一環として今回のサービスを提供していく。

 今回の統合ソリューションを構成するのは、スポットファイヤーが開発したウェブベースソリューションの「Spotfire.net」と、さまざまなデータベースに対してウェブベースでユニバーサルアクセスを提供するトライポスの独自技術「メタレイヤー(MetaLayer)」の2つ。

 コンビケム/HTSを利用した創薬研究では、アッセイロボットなどを使って大量の生物実験が行われるため、出力されるデータも膨大になり、その中から有用な情報をみつけ出すのが難しくなってきている。そこで、大量のアッセイデータをメタレイヤー技術を介してSpotfire.netに送り込み、そこでデータ解析を行おうというのが今回のソリューションである。

 Spotfire.netは、同社独自のデータマイニングツール「Spotfire Pro」の機能をウェブ環境に組み込んだもので、基本となるデータ可視化ツールやデータマイニングと統計解析のための計算モジュール、特定のアプリケーションのためのワークフローなどが含まれている。

 ユーザーはイントラネット環境でシステムを構築して利用することになり、使う機能に応じて雑誌などの予約購読料金のような形で費用を支払う。その中には、専用ウェブサイトのフォーラムに参加しての意見交換や、フリーのプラグインおよび実用的なシナリオのダウンロード、またウェブでの24時間/365日サポートなどを受ける権利も含まれている。

 トライポスは、ユーザーからメタレイヤー技術を組み込んだ形でのシステム構築を請け負い、要望にマッチしたソリューションに仕上げて提供する。

 Spotfire.netは、今回のコンビケム/HTSだけでなく、遺伝子/ゲノム情報の研究や臨床試験のデータ解析なども含めた新薬開発業務に幅広く適用できる。トライポスは現在、バイオインフォマティクスのソリューションを擁していないが、将来的にはさらに両社の統合ソリューションの適用範囲が拡大することが予想される。また、トライポスとの関係とはならないだろうが、化学プラントのプロセスデータの解析や触媒のフォーミュレーション開発、さらには航空機/自動車産業などのCALS/サプライチェーンマネジメント(SCM)、半導体産業の品質やパフォーマンス解析、ウエハー欠陥のマッピングなどにも利用できるという。

 スポットファイヤーは、1998年11月にケムインフォマティクス最大手の米MDLインフォメーションシステムズと販売提携し、MDLに化学・生物分野におけるSpotfire Proの全世界独占販売権を与えており、国内ではCTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)がサポートしている。今回のトライポスとの契約は、ソリューション型製品のSpotfire.netが対象なので、住み分けが図られているようだ。

 一方、トライポスの国内総代理店である住商エレクトロニクスも、かねてからメタレイヤーを利用したSI事業に乗り出す準備を進めてきており、今回のスポットファイヤーの技術を取り入れることも検討に加えていくとしている。