アスペンテックが石油専門SCMのぺトロールソフトを買収

石油・石油精製の上流から下流まで統合SCMソリューションが提供可能に

 2000.06.13−プロセス産業向けの総合IT(情報技術)ベンダーである米アスペンテクノロジー(略称・アスペンテック)は、ガソリンなどの石油製品のサプライチェーンマネジメント(SCM)システムを専門とする米ぺトロールソフト(本社・カリフォルニア州、デヴィッド・ガンボアCEO)を約5,500万ドルで買収した。ぺトロールソフトのSCMはガソリンスタンドへの配送計画やタンクローリーの配車問題など流通末端へのソリューションを得意としており、アスペンテックの既存の石油精製向け生産計画を中心としたシステムと組み合わせる形で、石油製品の上流から下流までのトータルなSCMソリューションが提供できるようになった。日本法人のアスペンテックジャパンを通して販売を開始する。

 ぺトロールソフトは、スタンフォード大学の研究をベースに1989年に設立された企業で、約50名の従業員を持ち、昨年は約400万ドルの売り上げ、80万ドルの営業利益を計上している。今回、ぺトロールソフト側から買収の打診があった模様で、アスペンテックのほかにもi2テクノロジーズやマニュジスティックス、ハネウエルなどからもオファーがあったようだ。最終的に、アスペンテックは約260万株を発行し、ぺトロールソフトの持株会社となることで吸収合併を行ったことになる。

 ぺトロールソフトのSCMは、大きく2つのモジュールに分かれ、各ガソリンスタンドの需要予測と実際の販売データ(POSデータ)を連動させて最適な製品供給計画を自動的に策定したり、タンクローリーの配車・運用を最適化したりする機能を持っている。ローリーの運用計画などはこれまでは適当なツールがなく、手作業で行っているところが多いという。

 アスペンテックは、全社レベルでの生産計画および精油所単位でのスケジューリング機能をサポートする「Aspen PIMS」を持っており、こちらはすでに国内で高い実績がある。これに、今回のぺトロールソフト製品を組み合わせることで、調達原油の選定から石油精製、顧客への製品の配送にいたるまでの幅広い業務領域全体を最適化・自動化することが可能になる。

 システムはウェブ技術をベース開発されており、ウェブブラウザーからすべての操作が行える。ガソリンスタンドなどとの通信もインターネットを介して行うことができる。適用機種はウィンドウズNT/2000。