米IBMがライフサイエンス事業部門を新設

3年間で1億ドルを投資、ソリューション開発と企業提携推進

 2000.08.18−米IBMは、ライフサイエンス事業部門を新設し、この分野に今後3年間で1億ドルの初期投資を行うと発表した。この資金は、バイオインフォマティクスのためのソリューション開発と企業提携に使用される。同社は、ライフサイエンス向けのIT(情報技術)市場が、現在の35億ドルから2003年には90億ドル以上に成長すると予測しており、これを戦略的重点市場の1つに取り上げていく計画だ。

 IBMのライフサイエンス事業部門は、eビジネス、スーパーコンピューティング、データおよびストレージ管理、データマイニング、ナレッジマネジメントなどの技術を、バイオインフォマティクスの専門知識と組み合わせて総合的なソリューションとして提供することを目指している。

 とくに、ゲノム、プロテオミックス、新薬開発の研究のために官民合わせて巨額の予算が投入されていることに加え、データ量の爆発的な増大がIT需要を押し上げている。例えば、ヒトゲノムデータベース(DB)の総量は約3テラバイト(3兆バイト)で、これは紙にして1億5,000万ページ分の情報量に相当するという。しかも、さまざまな生物種のゲノムDBがつくられつつあるほか、アノテーション(注釈)付きDBの増大も目立ち、ライフサイエンス関係の総データ量は半年ごとに倍増しているのが現状。人間がこうした巨大なデータを扱うためには、ITによる支援が不可欠である。

 IBMでは、このライフサイエンス分野に向けて、開発・営業・マーケティング・販売の専門家で構成されるチームを拡充し、ユーザーやビジネスパートナーに対して、システムの構築や導入を強力にサポートしていくことにしている。