TSTがアップストリーム社の構造異性体発生ソフト

NMRデータからのランキング機能搭載

 2000.07.21−帝人システムテクノロジー(TST)は、スイス・アップストリームソリューションズ社が開発した構造異性体発生ソフトウエア「Assemble(アセンブル)」の販売を開始した。化合物の分子式をもとに、可能性のあるさまざまな構造の異性体を自動的に発生させ、実際の計測データを使ったランキング機能によって確からしい構造を絞り込んでいくことができる。スペクトル解析とデータベースの総合システムである「SpecInfo」(独ラブコントロール社)と組み合わせることで、高度な実用性を発揮する。TSTは、この両システムの販売権を持っているため、セットでの販売を推進していく。

 化合物は同じ分子式であってもいろいろな構造を取る可能性がある。例えばC6H6という簡単な分子式でも、200数10種類の異性体が存在しており、調べたい分子が実際にはどの構造をとっているのかを推定する“構造推定/化合物同定”は以前からコンピューターケミストリーシステム(CCS)の重要なアプリケーションの1つとなっている。

 今回の「Assemble」は、分子式から異性体のすべてを発生させる機能を持っている。そのすべての可能性に対し、含まれているはずの部分構造や、逆に含まれない部分構造、さらに含まれる環構造の種類と数、ヘテロ原子の数、多重結合の数などの拘束条件を加えて、構造異性体を絞り込んでいく。

 Assembleの最大の特徴は、絞り込んだ異性体にランキング付けができること。1Hおよび13C−NMRで測定したスペクトル情報を読み込ませ、異性体の発生時にあらかじめ計算しておいたNMRシフト値と比較することにより、両者が合致する順にランキングをつけて瞬時に並び替えることができる。これにより、最終目的構造の決定を強力に支援することが可能。

 NMRシフト値予測には、スイスATHのプレッチェ博士のよく知られたアルゴリズム(ChemDrawやSpecToolなどにも内蔵されている)が用いられており、精度が高い。またNMR装置からのデータ入力はJcamp形式またはテキスト形式が利用できる。

 ランキングに利用できる実験値は、1Hおよび13C−NMRに加え、IR(赤外線)スペクトルやLogKow値を利用することも可能になる。

 Assembleで絞り込んだ候補構造を利用して、SpecInfoでさらに詳細な解析を行うことによって、研究活動を一層高度化させることができるという。SpecInfoにも同様の機能を持つプログラム「MolGen」が組み込まれていたが、ラブコントロール社としても今後はAssembleの方をメインにしていく考えのようだ。

 なお、プラットホームは、ウィンドウズ95/98/NT4.0で、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)にJavaを使用してるためJDK1.1.8に対応している必要がある。

 ソフト価格は、異性体を発生させる基本部分が50万円、ランキング機能はオプションで、1Hおよび13C−NMR対応が80万円、IRとLogKow対応はさらに別料金になる。