ユサコが独MDL(バイルシュタイン)の最新版DBシステム

650の検索フィールドを活用する簡易検索機能など強化

 2000.09.19−ユサコは、独MDLインフォメーションシステムズ社の化合物情報/反応情報データベース(DB)システムの最新製品「CrossFire2000」(クロスファイアー2000)の国内販売を開始した。データが最新版に更新され、検索速度などの基本機能が向上したほか、とくに高機能のDBを効率良く検索・利用するために利用者をサポートする機能が強化されている。MDLの専用サイトに接続して利用するインターネット版と、ユーザーがDBを社内に導入して利用するイントラネット版があり、年間使用料は標準的なクライアント数で700万−800万円。

 CrossFireは、ドイツの有名な「バイルシュタインハンドブック」を電子化したDBシステム。独バイルシュタイン・インフォメーションシステムズの製品だったが、1998年1月に大手学術出版社のエルゼビアサイエンスがこれを買収。エルゼビアはそれに先立つ1997年3月にMDLを買収しており、MDLとバイルシュタインとのシナジー効果を発揮させるため、今年の7月にMDLの欧州拠点と一体化させる形でバイルシュタインの社名を独MDLインフォメーションシステムズに変更した。

 最新版のCrossFire2000には、有機化合物を中心にした「CrossFire Abstracts(アブストラクト)」と、有機金属/無機化合物の情報を収めた「CrossFire Gmelin(グメリン)」の2種類のDBを備えている。

 前者は、約180の主要化学関連雑誌をカバーしており、1771年以降の約800万件の有機化合物に関する構造・製法・スペクトル・エネルギーなどのデータを蓄積。さらにこれらの合成に必要な1,000万件以上の反応情報、約70万件の文献情報(1980年以降)を収録している。

 また、新しい化合物のうち約50万件に関して薬理学・生態学関連のデータ項目を追加しており、これはオプションの「EcoPham(エコファーム)」という形で提供される。

 後者のGmelinは、独グメリンインスティチュートのDBをCrossFireのエンジンで検索できるようにしたもので、1772年以降の130万件以上の無機化合物情報を収めている。

 さて、今回のCrossFire2000では、これらの高機能DBがさらに使いやすくなった。 CrossFireは、EcoPhamを含めて約650の検索フィールドを持っており、非常にきめ細かな情報の絞り込み、高度な検索を行うことができる。しかし、フィールドが多いことが、不慣れなユーザーには逆に使いにくい原因ともなっていた。これを改善したのが、新しい「EDS(イージー・データ・サーチ)」。一種のウィザード機能で、「物質を同定したい」「反応条件を調べたい」「スペクトルデータを検索したい」など、やりたいことを選ぶと、それに適した検索フィールドが画面上に自動的にあらわれるようになっている。

 また、「ヒットセット・ナビゲーター」は、化合物情報/反応情報/文献情報の間をハイパーリンクを使って行き来して検索した履歴を精密にトレースできる機能で、検索作業のどの時点にも簡単に戻って再度確認したり、そこから新たに検索をやり直したりすることが容易に行える。

 また、ユーザーDBとの統合が実現できる「サイエンスホッピング」、エクセルなどの外部ソフトにデータを出力できる「エクスポート機能」、データもとの180誌のオリジナル論文を閲覧できる「LitLink」、分子グラフィックソフトSCULPT(60日間体験版を添付)を利用した「分子の3次元表示機能」などが追加されている。

 なお、検索には「バイルシュタイン・コマンダー」と呼ばれる専用端末ソフトを利用する。ウィンドウズ版とマッキントッシュ版がある。

 今回の製品は、ユサコのほか、富士通九州システムエンジニアリング(FQS)も販売しているが、ユサコではアフターサポートに力を入れており、ユーザーが高機能をフル活用できるようにトレーニングなどを充実させている。