富士通がMDソフトWinMASPHYC最新版を来年度に発売へ

結晶成長・表面吸着など材料表面での現象を解析

 2000.11.17−富士通は、分子動力学法(MD)を利用した材料設計支援システム「WinMASPHYC」の今後の開発計画の一部を明らかにした。材料表面現象をシミュレーションできる最新版を来年度に発売する計画。結晶成長や表面吸着、薄膜形成、表面損傷などの現象を解析することができる。すでにUNIX版では提供されている機能だが、今回初めてウィンドウズ上で実現されることになる。

 MASPHYCは、富士通が独自に開発した分子動力学法ソフトで、1989年から開発が開始され、1992年にUNIX版として製品化された。1995年にはスーパーコンピューター向けのベクトル並列バージョンが発売されている。現在は、ウィンドウズ版がメインとなっているが、最初のWinMASPHYCが1998年10月から提供開始され、今年の2月にはそれまでの結晶や溶液のモデリング機能に加えて、混合物や界面のモデリング、計算結果の解析機能、結晶構造やポテンシャル関数の編集機能、ネットワークサーバーとの連携機能などを盛り込んだWinMASPHYC Proが発売された。

 来年度に製品化する最新版は、以前のUNIX版のMASPHYC-SPと呼ばれたバージョンをウィンドウズに移植するもの。材料表面での現象をシミュレーションするための特殊な機能を搭載しており、基板の表面に粒子を入射する方向や射出スケジュールの設定、基板のモデリングなどの計算条件を自在に設定できる。

 マウスクリックによる優れた操作性のほか、ポテンシャル関数を豊富に揃えており、有機物から無機物まで幅広い物質を取り扱うことが可能。

 MASPHYCは富士通の社内でも活用されており、これまでに水素化アモルファスシリコンの成長過程、シリカライト表面および内部へのメタン分子の吸着、酸化マグネシウム膜のアルゴンプラズマによるスパッタリング、銅基盤上への銅粒子の衝突−などの研究事例がある。