ファーマコピアによるOMG買収にともなう製品群の整理統合

旧クレイのUniChemなど数製品が事業中止

 2000.10.12−米ファーマコピアによる英オックスフォードモレキュラーグループ(OMG)買収にともない、いくつかのソフトウエアの開発・販売が中止されることが明らかになった。1996年5月に、OMGが当時のスーパーコンピューターメーカーの米クレイ・リサーチから買収した「UniChem」などが含まれている。OMGはファーマコピアとの合併に先立つ今年の5月にも、1998年4月に買収した英ケミカルデザインの「Chem-X」の事業を中断しており、今回のことも不採算製品の整理統合の一環とみられる。

 ファーマコピアによるOMG買収は9月に完了したが、旧OMG製品のうち、「UniChem」「DGauss」「CADPAK」「MNDO」「AMSOL」が、製品としての命を終えることになった。そこで、新体制に正式に引き継がれるのは、ケムインフォマティクスの「RS3」(旧PSIインターナショナル製品、1996年3月買収)、毒性予測の「TOPKAT」(旧ヘルスデザイン製品、1996年3月買収)、大量データのトレンド解析を行う「DIVA」(旧OMGとグラクソ・ウェルカムとの共同開発)、構造活性相関解析の「Tsar」、さらに旧ジェネティックコンピューターグループ(1997年4月買収)のバイオインフォマティクス製品群「ウィスコンシンパッケージ」、旧インテリジェネティックス(1994年8月買収)の遺伝子解析ソフト「OMIGA」および「MacVector」−ということになる。

 また、X線データベースをもとにして二次元構造から三次元構造の座標を発生させる「Corina」、分子同士の類似性を定量的に評価する「Asp」、半経験的分子軌道法プログラムで13C−NMR化学シフトの予測などが行える「Vamp」の3つは、Tsar関連製品として開発を継続していく。

 さて、今回中断されるUniChemは、クレイ・リサーチがデュポンなどと共同で1990年代初頭に開発したシステムで、当時としてはスーパーコンピューター特有のアプリケーションだった分子軌道法(MO)を身近に利用するための統合システムとして、計算化学分野のクレイユーザーのほとんどが導入した人気ソフトだった。3つのMOプログラム、すなわち密度汎関数法(DFT)のDGauss、半経験的方法のMNDO97、ab-initio法のCADPAKをサポートしていた。

 今後これらUniChem製品群は、既存ユーザーに対する保守サポートは継続されるが、新規の開発は行われない。ただし、DGaussについては今年の3月に富士通に売却された分子モデリングシステム「CAChe」の中に収容される計画で、「CAChe DGauss」と称して富士通によって継続的に開発が行われる模様。

 もうひとつ、中止されるソフトはAMSOLで、UniChemとは関係のない半経験的MOプログラム。独自の溶媒効果を取り入れた計算ができたが、ほとんど売れていなかった製品だという。