米アップストリームが日本法人を設立

Javaアプリケーションのストリーミング配信が可能に

 2000.12.12−アプリケーションのストリーミング配信技術を持つ米アップストリーム社(本社・カリフォルニア州、ユリ・ラッズ社長)が、日本法人「アップストリーム」(本社・東京都渋谷区千駄ヶ谷3−50−11、明星ビル5階、長谷川礼司社長)を設立。第1弾としてJavaアプレットに対応した「AppStream for Java Techenologies」(商品名)の販売を開始した。ストリーミング技術は、遅い回線スピードでもビデオや音楽などを配信できる技術として普及しているが、これでアプリケーションを配信しようというのはほとんど例がない試みであり、今後の展開が注目されるところ。

 ストリーミングは、データの小さなかたまりを順次ユーザークライアントにプッシュ配信する技術で、データが連続しているビデオや音楽などのコンテンツ配信に多用されている。しかし、アプリケーションのように非連続的なものをストリーミング配信することは難しかった。

 アップストリームは1999年1月に設立されたベンダーで、独自の予測エンジンによってアプリケーションのストリーミングを可能にした。Javaアプレットの場合、全体を構成するクラスの単位でセグメント化され、個々に圧縮された“ストリームレット”に分割される。よく使われる機能ブロックのストリームレットを予測してクライアントに送り込む仕組みがミソとなっている。実際に使用されたストリームレットは使用統計としてサーバー側に返されるので、リアルタイムで予測エンジンの最適化を行うことができる。

 例えば、1メガバイトのJavaアプレットが100のクラスに分かれている場合、アップストリームサーバーは圧縮して2キロバイトのストリームレットを100個生成する。アップストリームの常駐クライアントは約70キロバイトのサイズで、低速の回線でもスピィーディーにダウンロードが可能。このクライアント上でストリームレットを復元して実行させることになる。

 通常のJavaアプレットでは、最初にプログラム全体をダウンロードしてしまう時間が必要であるため、そのためのタイムラグがユーザーにストレスを与えることが問題になっている。アップストリームの技術を利用すると、Javaで配信されるアプリケーションの起動を大幅に高速化させることが可能であり、Javaの応用範囲を一気に広げる画期的技術として注目される。

 今後、Javaだけでなく、HTMLやウィンドウズアプリケーションもストリームレット化を可能にする予定で、HTML版は来年2月に発表する予定。ウィンドウズ版は来年4月にβ版を公開したあと、同9月に正式版を発表する計画である。ウィンドウズアプリケーションをストリームレット化できれば、Javaのようにバーチャルマシンを使用する必要もないため、さらにアプリケーションのパフォーマンスが向上すると期待できるという。

 ソフトウエアライセンス価格は、サーバー当たり360万円(ストリームレットを送り込む同時サポートユーザー数が120まで)−1,320万円(同1,600ユーザーまで)。サーバーのプラットホームはウィンドウズNTとソラリスに対応。

 販売は、NTTコムウェア、新日鉄情報通信システム、東京NTTデータ通信システムズ、トーメンサイバービジネス、パスコ、三菱商事を通して行われる。