コンビナトリアル材料科学の独hteが米国にラボを開設

不均一触媒専門の欧州ラボと均一触媒専門の米国ラボで体制強化

 2001.03.26−触媒開発のアウトソーシングサービスを提供している独hte社(本社・ハイデルベルグ、ディルク・デームート社長)は、このほど米国ニュージャージー州プリンストンに研究施設を設けた。同社は高度な自動化技術を利用した“ハイスループット実験”(HTE)を通して、コンビナトリアルケミストリーの考え方をもとにした新しい触媒開発プロセスを実用化している。ハイデルベルグの本社研究所は不均一触媒を対象にした研究を行っているが、今回の米国拠点は均一触媒を専門にしたもの。欧米でラボが整ったことと、対象とする触媒の範囲が広がったことで、さまざまなニーズに応えることが可能になった。

 同社は、有力な触媒メーカーが多数存在する日本市場へのアプローチも昨年秋から強めており、年内には日本企業からの最初の受託研究プロジェクトを成立させたいとしている。

 hteは、コンビナトリアル材料科学とHTEに関する専門技術会社で、1999年6月に設立された。ビジネスモデルとしては、特定ユーザーとの個別契約による受託研究サービスの提供を中心にしており、いまのところ独BASFと米シェブロンを含む3社とプロジェクトを進めているという。これを「インダストリーコラボレーション」ビジネスと称している。

 今回新しくプリンストンに導入したラボは、ハイデルベルグと同種のもので、多数の触媒の候補物質をハイスループットで評価することを可能にするもの。同社では社内プロジェクトとして、NOx除去を目的とした環境触媒の開発を行っているが、そのためのシステムには微量のサンプルを扱うことができる16ウェル(穴)/48ウェル/49ウェルタイプの反応器が備えられている。これらを全自動でコントロールしてそれぞれの触媒を反応させ、解析してデータを収集することを24時間/7日間のペースで連続的に行うことができる。実際に、1週間で60種類の触媒を評価した実績があるという。

 現在、ハイデルベルグのラボには約30名、プリンストンには約5名の研究者を配している。

 同社では、設備が整ったことにより、新しく「ラピッドレスポンスサービス」も開始する。これは、顧客の具体的なターゲットに合わせて触媒の候補物質から最も優れたものを選択したり、さらにモディファイして最適化を行ったりするサービス。同社のHTEシステムを活用して6ヵ月以内に結論を出すことを前提にしたいという。

 さらには、これらの実験装置を含めた社内システムを外販する計画もある。これはラボ向けのシステム機器が中心だが、専門のソフトウエアは米モレキュラーシミュレーションズ(MSI)が「hteWorks」の名称で商品化を進めている。

 さらに、「ジョイントテクノロジーデベロップメントパートナーシップ」として、大学や研究機関との共同研究を進めている。これは収益目的ではなく、日本の大学にも連携する話しを持ちかけているところだという。

 日本市場に関しては、現在のところダイレクトにマーケティングを行っているが、国内に専門の代理店を設けることも検討していきたいとしている。