住商エレクトロニクスが創薬研究用データマイニングツール

米リードスコープ社と代理店契約、部分構造でデータ体系化

 2001.01.16−住商エレクトロニクスは、米リードスコープ社(本社・オハイオ州、アレン・リコンCEO)と販売代理店契約を締結し、大量の化合物のなかから有望な新薬候補を探し出すデータマイニングソフトウエア「LeadScope」(商品名)の販売を開始した。化学構造に着目してデータの絞り込みを行えるので、コンピューターに不慣れな実験や合成の研究者にも使いやすいのが特徴。ウィンドウズパソコンで利用でき、ソフトウエアの年間使用料金は初年度1ユーザー170万円から(2年目からは150万円から)。同社では、トライポスやサイビジョンなど各種のCCS(コンピューターケミストリーシステム)製品群を取り扱っており、それらと組み合わせたインテグレーションビジネスも推進していく。

 リードスコープ社は、1997年にコロンバスモレキュラーソフトウエアの名称で設立された企業。現在は社名ともなっている主力製品の「LeadScope」は、もともとは米ファイザーとの共同研究で開発されたシステムだという。

 最近、創薬研究にコンビナトリアルケミストリー/ハイスループットスクリーニング(HTS)技術が利用されるにともない、大量の分析データのなかから有望な候補化合物につながる情報をいかに堀り当てるかが問題になってきており、そのためにデータマイニング技術が注目を集めている。

 LeadScopeの最大の特徴は、構造からデータマイニングが行えるということ。あらかじめ階層化された2,700種類のフラグメント情報を内蔵しており、特定の部分構造の有無を調べながらデータを分類し、階層化することができる。入力には標準的なSDファイル形式(MDL社)をサポートしており、化学構造と物性値を読み込むことが可能。

 LeadScopeによって階層化されたデータは、度数分布/散布図/フラグメント別の3種類のグラフで視覚化でき、部分構造の系統によって活性値との相関関係がどのように変化するかをわかりやすく理解できる。また、データのフィルタリングは“リプンスキーの5つのルール”などに対応しており、ローテーションボンドの数やlogP値の範囲など、スライドバーを用いてインタラクティブにデータの範囲を絞り込むことができる。同種の機能を持つツールはすでにいくつか市場にあるものの、化学構造をもとに体系的にデータを分析できるのはこのソフトだけだという。

 住商エレクトロニクスでは、コンビナトリアルライブラリーを使ったファーストスクリーニングのデータ分析に最適だとしているが、基本的には部分構造と何らかの数値的データとの相関分析に幅広く利用できるため、サイビジョン社の毒性データベースなどと組み合わせることも可能。同社では、多目的利用も考慮した形でシステムインテグレーションにも積極的に応じていくことにしている。