アスペンテックジャパンが相次ぎSCMソリューションを受注

アジア市場で初の統合SCMスイート

 2001.02.06−プロセス産業専門のIT(情報技術)ベンダーであるアスペンテックジャパンは、今年に入って日本およびアジア市場でサプライチェーンマネジメント(SCM)の統合システムを相次ぎ受注した。食品容器メーカーのエフピコ、韓国の暁星グループ、タイのサイアムポリオレフィンの3社。欧米ではSCMをトータルシステムで導入するのは普通だが、日本などではこれまでは部分的な導入にとどまっており、サプライチェーン全体の最適化に踏み込むケースはまれだったという。同社では、日本を含むアジアでもSCM本格導入の機が熟してきたとして販売戦略を強化していく。

 国内のエフピコから受注したのは加工型製造業向けのSCMスイート製品「アスペンMIMI」。エフピコはコンビニエンスストアやスーパーマーケット向けにプラスチック製のトレー容器・弁当容器などを製造および供給している。とくに、コンビニ向けは需要の変動が激しいため在庫のムダが多くなるなどの問題があったという。

 アスペンMIMIを利用することにより、製品・顧客単位での需要予測を行い、それに基づく供給計画・生産計画を立案、生産スケジューリングを行う。また、自社の10工場を含む全国80ヵ所の生産拠点、7ヵ所の配送基地に対する最適配分を図り、物流コストと生産変動費、在庫などのトータルコストの大幅低減を実現していく。システムの稼働開始は今年の9月の予定で、さらに来年3月には同時構築中のERPシステム「R3」(SAP社)との接続を行う計画である。これにより、R3による生産・販売・在庫管理がSCMと結びつくので、システムの運用効果がさらに高まると期待されている。

 今回の受注に当たっては、i2テクノロジーズ、マニュジスティックス、SAP、日立製作所との競争の結果、案件の受注に成功したという。

 一方、韓国とタイで受注したのはプロセス系のSCMスイート。韓国・暁星グループは化学関連の2事業部で採用を決めた。まずは、タイヤコードとPETボトルのサプライチェーン最適化で実績を積み、成功すれば全社展開する計画もあるようだ。

 タイのサイアムポリオレフィンは、LDPE、LLDPE、HDPEを対象とし、リアルタイムで納期回答を行う機能も実現する予定だという。両方とも今年になって受注が決まったプロジェクトで、今秋にはシステムが稼働する。

 これらの3つのプロジェクトは、いずれもサプライチェーン全体の最適化を目指して全機能を網羅したスイート製品で受注したもの。日本でも、これまでは需要予測だけとか、生産スケジューリングだけなど部分的な導入にとどまっている例がほとんど。同社としても、アジア市場でのスイートでの受注は初めてだという。しかし、ここへきて相次ぎ受注実績が出たことは、SCM市場が本格化してきたことのあらわれであるとも考えられるため、さらに提案活動を強化していく方針だ。