CCS特集:モデリング・計算化学系

コンフレックス

 2001.05.25−コンフレックスは、ソニー・テクトロニクスでCCS事業を行っていた一部のスタッフが独立し、昨年4月に設立された。豊橋技術科学大学で開発された配座探索プログラム「CONFLEX」の販売権を持っており、富士通の分子モデリングシステム「CAChe」と組み合わせた形で販売を行っている。専門ノウハウを生かしたコンサルティングサービスの評価も高い。

 CONFLEXは分子の最も安定な配座を自動的に探索するプログラム。配座探索は初期構造をいくつも変更して何度もエネルギー計算を繰り返すなど非常に手間ひまがかかる作業だが、CONFLEXは配座発生と構造最適化機能を合わせ持っており、化学的に重要な配座異性体の最適化構造をもれなく自動的に見つけ出すことが可能。

 化学構造が少し複雑になると、研究者が配座を頭でイメージするにも限界があり、また局所安定構造に陥ってエネルギー計算が進まなくなる恐れも大きくなってしまう。NMRによるスペクトル解析の際にも安定配座がわからないと解析不能になる場合もあるなど、CONFLEXが活躍するフィールドは国内でも広く認められている。

 同社では、さらにスピードを上げるため並列処理バージョンも開発した。マッキントッシュを利用したメッセージパッシング型のシステムで、5年ほど前のUNIXマシンで3週間かかったシクロヘプタデカンの計算が1時間で完了するという。この技術を利用すれば、たん白質などの巨大分子の安定構造の探索にも利用できるのではないかとさらに研究中。ただ、このパラレルCONFLEXはGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)が用意されていないため、当面は同社と計算化学サービス契約を結んでもらって提供していく。

 一方、富士ゼロックスが開発した「MDエンジンII」とカルフォルニア大学の「AMBER」のセット販売も行っているが、こちらの用途は生体分子の解析が中心になる。