CCS特集:モデリング・計算化学系

菱化システム

 2001.05.25−菱化システムは、アクセルリス(モレキュラーシミュレーションズ)製品を中心に、それを補完する形で分子モデリング/シミュレーション分野のCCS製品群を幅広く取り揃えている。最近では、米国の小規模な新進CCSベンダーとタイアップし、経営やマーケティングを支援しながら製品を育てていく作戦も展開中だ。

 昨年に大きく伸びたのはケミカルコンピューティンググループ(CCG)のMOE。ソースコードで提供され、カスタマイズが容易なため、アクセルリス製品を導入しているパワーユーザーが追加導入するケースが多い。また、MOEによって初めてCCSに取り組むユーザーも増えているが、初期投資が安いことやパソコンで利用できる手軽さ、操作性の良さなどが受けている。

 例えば、アクセルリス製品にも実験研究者などが簡単に利用できるソフトがあるが、実際には社内にきちんとしたサポート体制が整っていなければならない。しかし、MOEの場合はそうした本格的なスタッフ部門がなくても使いこなせる手軽さがあるという。MOEは低分子からたん白質まで一通りのモデリング機能を備えており、大規模にCCS環境を構築したいユーザーにはやはりアクセルリス製品が適しているが、小規模なユーザーにはMOEの方が向いている場合も多い。

 一方、新しい製品としては、力場計算でのパラメーター不足を補うため、例えばAMBERの力場でGAUSSIANの計算値を再現するパラメーターを自動的に生成するソフトDirectFFが秋に製品化される。このベンダーはMSIからスピンアウトした力場の専門家が設立した企業。技術はあるが、特許戦略の考え方、価格体系をどうするか、ユーザーの声をいかに反映させるかなど、経営のノウハウに関しては経験に欠ける部分が多い。そうした一種のインキュベーションも含めて、米国の新進ベンダーの製品を今後も積極的に国内に導入していく計画である。