日本MDLがHTS用プレート管理システムApexを発売

HTSソリューションの総合体系が確立

 2001.07.09−日本MDLインフォメーションシステムズは、新薬候補化合物を研究段階で絞り込むために行われるハイスループットスクリーニング(HTS)向けのアッセイプレート管理ソフトエア「Apex」(商品名)の販売を開始した。分析用の大量の化合物ライブラリーをプレート上で効率よく管理することができ、活性のあったサンプルだけを集めて新しいアッセイプレートを再構成する“チェリーピッキング”も簡単に行える。同社では、アッセイデータ管理・解析システム「アッセイエクスプローラー」と組み合わせて、HTSソリューションとして製薬会社などに提案を行っていく。プレート管理の本格的なパッケージソフトは初めてだとしており、国内でも注目を集めそう。

 HTSでは、数万から数10万単位の化合物がマイクロプレート上に凍結されて濃縮保管されており、実際に使用する際にはこのマザープレートからサンプルを解凍・希釈してドータープレートをつくり、さらにそれらを組み替えてスクリーニング実験用のアッセイプレートを作成するといった手順をとる。このため、アッセイ実験の結果、活性があった化合物がどのマザープレートのどこに保管されているのか、さらには活性のあった化合物の情報をもとに新しいアッセイプレートのパターンでスクリーニングをやり直そうなどとすると、たいへん繁雑な手作業が発生するという問題があった。

 Apexは、化合物情報や濃度、残量、保管場所などのサンプル情報と、プレート番号、サイズ、サンプル、作成状況などのプレート情報の両方をOracle8iで一元管理できるのが特徴。マザープレートからアッセイプレートまでの履歴や、マザープレートの解凍回数、マザー上のサンプルの残量管理までが自動的に連動する。これらのデータベースは、実際のアッセイロボットシステムとも整合性が取れるように設計されており、Apexで作成したプレート情報などをロボットに転送して、実際のプレート作成を制御させることも可能となっている。連携可能なロボットは、テカン、ベックマン、九州松下電器などのマシン。

 また、アッセイエクスプローラーと併用し、共通の化合物IDやプレートIDを使用することで、アッセイ結果のデータ解析を行い、ある条件で絞り込んだサンプルだけをピックアップし、新しいアッセイプレートをデザインするという一連の作業が簡単に行えるようになる。化学情報管理システムのISISと組み合わせれば、ライブラリーの中から特定の部分構造を持つサンプルだけを取り出してプレートを作成することも容易になる。

 同社では、今回のApexがラインアップされたことで、HTSのワークフローを網羅的に支援できるソリューション体系が整ったとしており、さらに販売戦略を強化していく考え。

 とくに、Apexによってチェリーピッキングがしやすくなるが、マザープレートで管理している場合は、その一部のサンプルだけを取り出したい時にもプレート全体を解凍する必要があるなど、実際の作業効率が良くない。ところが、オランダのマイクロニックシステムズ社が開発した「TraXis」はマイクロチューブを使ってサンプルを一つひとつ管理することができるので、Apexの凍結解凍回数管理や残量管理機能とよくマッチングする。このため、日本MDLではTraXisの総発売元を務めているグンゼ産業・理化学機器部と販売面で協力体制をとっていくことにした。

 なお、システムの適応環境はソラリス、AIX、IRIX、ウィンドウズNT/2000など。ソフト価格は400万円からとなっている。