WORLD PC EXPO 2001基調講演:マイクロソフト阿多親市社長

ウィンドウズXPの新機能を披露、新PC体験を呈示

 2001.09.20−マイクロソフトの阿多親市社長は19日、千葉市・幕張メッセで開催中のWORLD PC EXPO 2001において「WindowsXPで広がる新しいPCエクスペリエンス」と題する基調講演を行った。11月16日に日本語版の発売が控えているウィンドウズXPの一般ユーザーへの初お目見えの機会であり、ドットネット(Microsoft .NET)構想を含めて新OSの魅力を十分にアピールした。

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 阿多社長は講演の冒頭でビジネス環境やIT(情報技術)環境の変化に注目し、「いま、テクノロジーの進化は過去の何倍ものスピードに加速している。このような状況下で重要なのは俊敏性であり、アジリティという言葉で示されるテーマがこれからの情報システムのポイントになる。このアジリティを実現するのが当社のドットネットだ」と話題を展開した。

 阿多社長は、ウィンドウズXPをもってドットネットがすでに具現化されており、ドットネットへの変化はいまこの時に生じていると強調。「もはやアプリケーションをゼロからつくる時代ではなく、いろいろなウェブサービスを組み合わせて利用する時代になる」と述べた。

 そして、具体例として「ヘイルストーム」(HailStorm)を紹介。「個人のプロファイルやデータをインターネット上に格納しておき、いろいろなサービスプロバイダーに対して必要なプロファイルを必要に応じて公開してサービスを享受することができる」と説明し、「ワン・ツー・ワン・マーケティングという言葉があるが、これまでは大まかなくくりで分類しているにすぎなかった。ヘイルストームにより、一人ひとりに個別のサービスを届けることが可能になるので、真のワン・ツー・ワンが初めて実現する」とした。

 このためには、コンピューター利用のスタイルが時間や場所の制約から解放される必要があるとともに、ペーパーレス、ブロードバンドでのコミュニケーション、デジタルコンテンツのサポート、ウェブサービスによるビジネスソリューションなどの分野における技術開発が必要になる。講演のなかでは、ウィンドウズXPで具体化されたウィンドウズメッセンジャーやウィンドウズメディアテクノロジーの新機能、さらには開発中のタブレットPCなどが紹介された。

 続いて阿多社長は“ポストPC”に関する議論を取り上げ、「PCはなくならない。PCは中心である。あらゆるデジタル機器を束ねるハブの役割を果たす。ウィンドウズXPはそのためのホームサーバーを実現する機能を備えている」とアピール。「2000年のPCの世界需要は1億3,000万台で、そのうち米国は4,800万台、日本は1,300万台である。米国の人口との比較からみても日本市場はまだまだ伸びるはず。とくにブロードバンドの急速な普及に注目できる。いまや、ブロードバンドの料金は日本が世界一安い。日本は月額2,000円台に突入しているが、米国では50−60ドルが一般的であり、韓国でも5,000円台というところだろう。1年前とはまったく様変わりした」とし、ブロードバンド時代のウィンドウズと銘打ったウィンドウズXPの発売を来場者に対して正式にアナウンスした。

 最後に行われたデモンストレーションでは、「ホームPCのエクスペリエンス」として、デジタルカメラからの画像取り込み、CDをハードディスクに取り込んで楽しむことなどがいかに簡単に行えるかを示した。また、「ビジネスPCのエクスペリエンス」としては、ウィンドウズメッセンジャーによるビデオチャットを使ったコミュニケーション、リモートアシスタンス機能を利用した遠隔でのヘルプ・サポート、リモートデスクトップ機能を利用してのモバイル活用−などの事例が取り上げられた。リモートデスクトップは、外出先のノートパソコンから会社のパソコンを呼び出して操作することなどを可能にする機能で、このとき会社のパソコンにログインするとそのマシンはロックがかかり、外部から操作ができないようになる。そして、ノート側から特定のファイルを編集するなどして、そのファイルを保存せずにリモート接続を切断。会社に帰ってログインし直すと、先ほど編集したファイルが開かれており、そのまま作業の続きを続行できるというデモを実演した。

 また、ウィンドウズXPと同時発売の「Microsoft Plus! for Windows XP」についても紹介されたが、ウィンドウズメディアプレーヤーを音声で操作する音声コマンド機能、さらに付属するスクリーンセーバーの超絶的な美しさが目をひいた。