日立ソフトが遺伝子情報解析システムの最新版を開発

DNASIS Proを発売、配列解析の統合機能を強化

 2001.11.15−日立ソフトウェアエンジニアリングは、遺伝子情報解析システムを大幅に機能強化し、「DNASIS Pro」の名称で販売開始した。15年以上前からシーケンス解析の代表的な国産ソフトの一つとして1万本以上の累計出荷実績を持つ「DNASIS」の名前を継承する新製品で、操作性やグラフィック表示機能をさらに向上させ、SNPs (一塩基多型)解析支援などの新機能を盛り込んだ。同社のバイオインフォマティクス製品の中核として、初年度に国内500本、海外500本の販売を見込んでいる。

 DNASISはもともと、1984年10月にPC-9801用のソフトとして発売され、マッキントッシュ版、ウィンドウズ版へと変遷してきた。近年は、大量データ解析機能を強化して「DNASpace」の製品名で提供されており、国内ではメインの製品名として久しぶりにDNASISが復活したことになる。

 今回のDNASIS Proは、DNASpaceからのアップグレードパスも用意されており、バイオインフォマティクスのための文字通りの主力製品として開発された。もともと操作性の良さとグラフィックの美しさに定評があったが、今回は解析機能がグループごとに分かりやすいアイコンでまとめられており、塩基配列からアミノ酸配列への翻訳、配列間の相同性検索など、あらゆる解析がワンボタンで実行可能になった。解析結果のグラフィックはワープロなどに高品位な状態で書き出すことができ、論文作成にも威力を発揮する。

 また、自動DNAシーケンサーからの波形情報を表示し、波形を見ながら配列編集を行うことができるようになった。マルチプルアラインメントによりゲノム創薬で重要とされているSNPsの検出を支援することができる。

 さらに、GenBankを管理する米NCBI(国立バイオテクノロジー情報センター)の検索サービスにボタン一つでアクセスすることが可能。取り込んだ配列データにユーザーが独自でアノテーションを付けるための機能も追加されている。

 Windows98/Me/NT4.0/2000/XPに対応しており、ソフト価格は基本モジュールが30万円、標準セットが60万円となっている。

 オプション製品も豊富に用意されており、配列連結プログラムPhred/PhrapをDNASIS Proと連携して使用できるようにする「Phred/Phrapオプション」(セットで90万円)、スミス・ウォーターマン法の高速ホモロジー検索ボード製品を利用できるようにする「GENE BRIGHT IIIオプション」(同85万円)、解析手順をあらかじめ作成しておくことで数100−数1,000個の配列データ解析を自動的に実行させる「DNASpaceオプション」(同90万円)が用意されている。

 販売は代理店の宝酒造、エヌピーキヤノン事務機器、DNAチップ研究所が行う。