アクセルリスが分子モデリングで直販体制に移行

菱化システムが代理店を降板、日本法人の陣容強化を図る

 2002.02.01−コンピューターケミストリーシステム(CCS)の最大手ベンダーである米アクセルリスは、分子モデリング、ケムインフォマティクス、バイオインフォマティクスの主要3分野のうち、分子モデリングシステムの直販に乗り出すことを明らかにした。同社は日本市場で3分野それぞれに代理店を立てているが、モデリング分野を担当していた菱化システムが昨年末をもって降板、すでに日本法人による直販体制に移行している。アクセルリスは国内で学術的背景と研究実務経験を持つ技術サポートスタッフをそろえつつあり、営業体制の拡充も含めて日本法人の陣容を大幅に強化する。

 アクセルリスは、分子モデリングで菱化システム、ケムインフォマティクスで富士通、バイオインフォマティクスで三井情報開発を起用している。菱化システムはさらにダイキン工業や富士通九州システムエンジニアリングを販売パートナーとしていたが、このルートでのアクセルリス製品の販売はすべて終了した。富士通と三井情報開発に対しては、製品取り扱いの変更はない。

 今回、具体的な直販・サポートの対象としては、材料設計から薬物分子設計までの統合型システムであるCerius2、たん白質モデリングなどを中心とするInsight II、薬物設計のためのCatalyst、量子化学計算プログラムのDmol 3やCASTEP、機能ゲノム解析のGeneAtlas、材料設計支援システムのMaterial Studioなどの製品群が含まれている。

 アクセルリスは、その前身である旧バイオシム時代の1986年に三菱商事と代理店契約を結び、1987年に同じ三菱グループの菱化システムが技術サポートを担当する形で、本格的に日本での事業をスタートさせた。菱化システムは1991年から正式な代理店となり、1999年からは国内総代理店の立場で活動を行ってきた。バイオシムはその後も多くのCCSベンダーと合併する形で現在のアクセルリスへと発展してきたわけだが、菱化システムは分子モデリング分野を中心にしながら約14年にわたって販売・サポートを続けてきたことになる。

 このため、菱化システムがサポートしてきたユーザーには大手の化学会社や製薬会社が含まれており、その数も多い。直販体制に切り替えるには、それにかなった組織が必要になる。アクセルリス日本法人では、すでに体制強化を進めており、営業で約10名、技術サポートで約10名の人材をそろえつつある。サポート要員には、大学でX線解析などを行っていた学識経験者、製薬会社でコンビナトリアルケミストリーなどを担当した研究者、化学会社に在籍していた計算化学の専門家などを採用しており、開発元として高いレベルの科学的なサポート・サービスを提供できるようにしていく。

 また、トレーニングルームの設置なども含めたフロア増強もすでに完了させており、同社では販売およびサポートの両面で以前よりも充実した体制になるとしている。

 なお、同社では米国から責任者を招き、2月5日に東京・江東区のホテルイースト21で、7日に大阪・梅田のホテル阪急インターナショナルで今回の体制変更と今後の方針に関するユーザー説明会を開催する。