CRCソリューションズが最新版SPARTAN'02を発売

コアにQ-Chemを採用、材料設計・たん白質モデリングにも対応

 2002.02.06−CRCソリューションズは、非経験的分子軌道法をベースとした分子設計支援システムの最新版「SPARTAN'02」(商品名)を販売開始した。米ウェーブファンクション社が開発したもので、WindowsおよびLinux環境で利用できる。今回は心臓部の計算エンジンが一新されており、従来の有機低分子化合物に加えて、金属などを含む材料系の分子設計にも対応できるようになった。洗練された使いやすさも特徴で、教育用途にも積極的に売り込んでいく。

 SPARTANは、Gaussian85系の計算エンジン(米ガウシアン社が開発しているGaussian98に至る偶数番号系のコードとは別系統のもの)を内蔵したシステムだったが、今回から米キューケム社が開発した計算エンジンに切り替えた。最新のQ-Chem2.0がベースとなっている。ウェーブファンクションとキューケムは、ともにノーベル化学賞を受けたジョン.A.ポープル教授の門下で非経験的分子軌道法プログラムを開発してきたという接点がある。

 Q-Chem2.0のサポートによって、密度汎関数法でのB3LYP、MP3/MP4、励起状態を第一原理的に計算できるCIS/CISDなどの新しい解析手法を取り込むことになり、とくに材料系の設計にも強くなったという。ただし、Q-Chem自体は大きな分子が計算できることを特徴にしているが、今回のSPARTANは原子数が200(半経験的方法では原子数300まで)、基底関数が2,000までに制限されている。

 また、生体高分子のモデリングにも対応できるようになった。プロテインデータバンク(PDB)から座標データを読み込んで、たん白質をリボン表示したり、コンホマーごとに色を変えたり、リガンドだけを別のモデルで表示して目立たせたりするなどの操作が可能。たん白質のような高分子全体を計算することは無理だが、活性部位を切り出してリガンドと合わせたクラスターを第一原理的に計算し、電子状態を理解するなどの研究に役立てることができる。

 SPARTANは使い方がやさしいので、世界的にも教育用途での導入が多い。同社では、引き続き大学などへの売り込みに力を入れる一方、企業内でも合成研究者が使用するなどの裾野の広がりも期待できるとしている。

 ソフト価格は、Windows版(Windows98/Me/NT/2000/XP)が企業向け54万円、教育向け19万8,000円、Linux版(スージー、レッドハット、マンドレイク)は同じく100万円と28万円となっている。IRIX版とTru64UNIX版もリリースされる予定である。