IBMがライフサイエンス事業への投資を倍増

2003年までに2億ドルを投入、アジア市場でも活発に展開

 2002.02.23−ゲノム創薬を支援する情報技術(IT)を提供するライフサイエンス事業で、IBMが事業投資額を倍増させたことが明らかになった。同社は2000年8月に専門のライフサイエンス事業部門を新設し、当初は3年間で1億ドルの投資を行う計画を進めていたが、昨年秋の段階でそれを2倍の2億ドルに増額することを決めた。当初の3ヶ年計画のちょうど折り返し点にも当たり、今年はバイオインフォマティクスのためのソリューション開発と企業提携をさらに活発化させていく。

 IBMは、ライフサイエンスの企業や研究機関に対し、ITインフラを包括的に提供するサービスを推進している。大規模で高速なコンピューター、大容量で高信頼性のデータストレージ、データベースやミドルウエアなどのソフトウエア技術、さらにインテグレーション、コンサルテーション、ホスティングサービスまで、幅広いソリューションをそろえている。

 今回、2003年までの投資を2億ドルに倍増したのは、当初の予想を上回るペースで市場が拡大していることが最大の理由。政府関連からの引き合いが急増していることに加え、民間でも製薬業界におけるゲノム創薬のブーム化、ユニークな技術を持つバイオベンチャーの起業が相次いでいることなど、ライフサイエンス分野におけるIT需要が拡大の一途をたどっているためだ。

 例えば最近では、MDSプロテオミクスの世界最大のたん白質パスウェイ解析センターを300台のLinuxクラスターで支えているほか、ニューテックサイエンスで1,250台のAIXベースのp640クラスターを稼働させるなどの実績がある。

 2億ドルは、特異なバイオ技術を持つ企業との技術提携、それらにともなうアルゴリズム開発やアプリケーション開発のためにも利用される。

 アジア地域では、昨年10月に日本IBM内に専門のライフサイエンス事業推進部を設けたほか、韓国、シンガポール、中国、マレーシアでも体制整備を進めてきた。さらにインドへも進出を予定しており、2億ドルのうちの多くはアジア市場で用いられるという。