米サン・マイクロ、スコット・マクニーリ会長が会見

SunONEの優位性を力説、ライバル切り捨てる毒舌を発揮

 2002.03.08−米国サン・マイクロシステムズのスコット・マクニーリ会長兼CEOが7日、都内で記者会見し、次世代のウェブサービス環境を実現するシステム体系“SunONE”の優位性をアピールした。また、いつもながらの毒舌でマイクロソフトやIBMなどのライバルを切り捨てた。

 会見の冒頭でマクニーリ会長は、やや大袈裟な表現で「人類が直面している2つの戦い」について述べた。「10年前には幾10ものコンピューターメーカーがあり、それぞれに開発者のコミュニティがあった。しかし、いまやそれは2つに集約された。すなわち、マイクロソフトのドットネット(.NET)とわれわれのSunONEだ。これはいわば空中戦で、ウェブサービスの主導権をめぐる戦いである。まず、SunONEはオープンで業界標準だが、ドットネットはプロプライエタリーだ。SunONEは64ビットだがドットネットは32ビット、SunONEはセキュリティに強いがドットネットはウイルスにやられるのが得意だ。SunONEは開発者やユーザーが自分たちのコミュニティを設けて守ることを可能にする。ドットネットはコミュニティをハイジャックするようなもので、独自のパスポート認証技術によって“盗み”をする。ドットネットは溶接された箱のように閉じ込められた世界だ。いわば、人類とマイクロソフト・ドットネットとの戦争である」と発言。

 「サンは人類側の反乱軍のリーダーだが、戦いは拮抗している。サンもマイクロソフトもこの10年に成長し、市場シェアはほとんど同等。開発者のコミュニティもほぼ同等の規模を抱えている。ただ今後は、Javaの技術的優位性やスマートカード分野での圧倒的シェアなどを武器に戦いを有利に進めていけると思う」。

 次いで、2つ目の戦いである“地上戦”に言及し、「こちらはIBMグローバルサービス対サンおよびパートナーの連合軍という図式になる。われわれの連合は市場におけるベストの技術・製品を組み合わせて統合したソリューションを提供できる。反対に、IBMが提供するのは自社の製品だけだ。顧客は暗闇のなかを案内されるようなもの。IBMはいわば掃除機であり、顧客の問題をうまく解決できる場合もあるが、そうでなければ財布ごと吸い取って逃げていく。例えるならば、人類対IBMグローバルサービスの戦いであり、ここでもサンは人類の反乱軍のリーダーである」とこきおろした。

 HPとコンパックの合併に関しては、「あれは合併ではなく衝突だ。われわれにとってはむしろ都合がいい。HPもコンパックもUNIXをやめてウインテルの軍門にくだろうとしている。そうなると、両社の顧客はそれにしたがってウインテルに移行するのか、それともサンに移行するのかの選択に迫られるだろう。ほかにもIBMやLinuxに移行するという選択肢もあるが、むしろわれわれの方にユーザーが流れてくるのではないかとみている。だから、合併してもらって大いに結構だ」とした。

 また、Linux戦略について問われたマクニーリ会長は、サンの全体戦略について自ら絵を描いて説明した(写真)。「大きな外枠はウェブトーンスイッチあるいはサーバー製品のアーキテクチャーの全体像を示していて、われわれはここに年間20億ドルの開発費を投じている。一番上にあるのがSunONEだ。一番下がシステム管理者向けの新体系「N1」を指す。真ん中の「V」はバーチカルスケーリングのシステム、「H」はホリゾンタルスケーリング、「S1」はストレージである。VはいわゆるSPARC/SOLARISのSMP型システムを意味する。それに対してHには、コバルト製品、ネトラ製品、Linuxブレード製品が含まれている。ここで重要なのは、開発者はSunONEに対してアプリケーションを書き、管理者はN1を通してシステム全体を管理するという点だ。真ん中のSOLARISがどうとかLinuxがどうとかいうことは顧客には見えないし関係がない。例えば、携帯電話の中に入っている半導体の機能や製造元に関心を持つユーザーはいないし、それで何の問題もない。Linuxについても同じことで、一部品という認識しかない」。

 最近話題のグリッドコンピューティングに関しては、「おもしろいし重要だし、ある用途では価値があると思う。急に人気が出る技術というものは確かにあるが、その将来性については現時点では何ともいえない。いまは、これから先がどうなるかをよく見定めていく時だろう」とコメントした。