2002年春季CCS特集:アドバンスドテクノロジーインスティテュート

遺伝子解析/ホモロジーモデリング機能をウェブ経由で提供へ

2002.6.20−アドバンスドテクノロジーインスティテュート(ATI)は、今年の秋から冬にかけて独自開発の遺伝子情報解析システムをインターネット上で提供するサービスを開始する。同社は、理化学研究所との共同研究でも実績が豊富で、今回の新サービスも理研が運営しているサーバーの補完的な機能を持たせる計画だ。

 同社はすでに、塩基配列からの二次構造予測やホモロジー計算などたん白質配列の解析機能を多く備えた「GENIE」、アミノ酸配列からのホモロジーモデリングによるたん白質全原子予測システム「PESST」という2種類のシステムを開発している。これらをウェブ経由で利用できるようにするのが今回のサービスの構想である。

 とくにPESSTは、同社の特許技術を利用することによって、たん白質の主鎖の要所に位置するアルファ炭素原子の座標を高精度で予測することができ、そのたん白質全体の形態を正確に把握できるという特徴がある。このため、相同性が30%以下と低い参照たん白質でも精度良く立体構造を組み立てることが可能。側鎖を含めた全原子の座標を予測するために膨大なモンテカルロ計算を行うので、計算時間はかなりかかるが精度の高さには自信があるという。

 同社は理研のたん白質データベース「3DinSight」の構築も手がけているが、これは検索がメインで解析機能を持たない。GENIEはちょうどそれを補うことが可能で、早ければ夏にも利用可能になるという。当面は理研のサーバーを介して無償公開する予定。

 また、遺伝子がどのように発現していくかのメカニズムを解析するための転写因子ターゲット予測システムを理研と共同開発した。こちらは理研のサーバー上ですでに利用可能だ。