日本MDLが創薬研究DBシステムのコンサルティング事業を開始

販売・サポート体制も強化、世界同一のサービス提供を目指す

 2002.09.25−ケムインフォマティクスの最大手ベンダーである日本MDLインフォメーションシステムズは、製薬会社の研究所におけるデータベース(DB)アプリケーションに関するコンサルティング事業を開始した。化合物の情報管理や実験データ管理、試薬管理などのシステムの設計・開発・運用までを専門的な技術ノウハウで支援する。近年、親会社の米MDLでもコンサルティング事業が大きな柱になってきており、すでに約130社に対して200以上のプロジェクトを実施した実績がある。全世界で同一のサービス・サポートを提供するという観点から国内でも本格的にコンサルティングを行える体制を整えたもの。

 今回、9月18日から20日までの3日間、東京・お台場のタイム24ビルで「MDL日本ユーザー会」が開催され、そのなかで日本MDLの組織強化・事業体制強化などに関する説明が行われた。

 従来、日本MDL経由では、主力製品の統合化学情報管理システム「ISIS」がCTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)を通して、旧バイルシュタインインフォメーションシステムズの化合物・化学反応DBシステム「CrossFire」は富士通九州システムエンジニアリング(FQS)とユサコ、エルゼビア・サイエンスを通して販売・サポートされてきた。

 7月からこの体制を一部変更し、日本MDLがISIS向けのDBコンテンツ製品、およびCrossFire製品を各代理店と併売の形で直販することになった。また、昨年買収したサイビジョン製品の販売も6月からは以前の代理店だった住商エレクトロニクスから日本MDLの独占販売体制に移行している。これにともない、サポートに関しても代理店サイドから日本MDLとの直接契約に切り替えていく方針。まずは、ISIS向けDBコンテンツ製品のユーザーと、ISISを併用しているCrossFireユーザーを対象に保守契約更新時に引き継ぐようにしていく。ただ、ISISを他社製品と統合するなどの特殊なサポートを提供しているCTCLSのユーザーに関しては、そのままCTCLS側からサポートが提供される。

 今回新たに開始したコンサルティングサービスは、こうした販売・サポート体制の変更と合わせた対日戦略強化策の一環という位置づけになる。米MDLでも最近はコンサルティング事業が伸張しており、日本のユーザーに対しても欧米と同等のサポート・サービスを提供しようというのが基本的な考え方だという。現在、MDLには世界で75名のコンサルタントがおり、その半数以上は実際の創薬研究活動に携わった経験があり、さらに全体の40%が博士号取得者で占められている。単純なインストールの支援から複数年契約での戦略的コンサルティングまで、具体的なサービス内容はさまざまだが、これまでに手がけたプロジェクトは200以上に達している。

 日本MDLでは、外資系の大手製薬会社でIT(情報技術)マネジャーを務めていた専門家を採用し、周辺スタッフを整えて実際にサービスを開始している。コンサルティングの実施に当たってはMDLの全世界のコンサルティングチームのネットワークを活用するほか、個別のアプリケーションに関してはパートナーのCTCLSやシーエーシー(CAC)とも協力体制をとっていく。