CTCLSが遺伝子制御領域の解析ソリューションを提供

独ジェノマティクスと代理店契約、DBから解析ツールまでそろえる

 2002.12.18−CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)は、独ジェノマティクス社(トーマス・ワーナーCEO)と販売代理店契約を締結し、遺伝子制御領域に関する解析ソリューションの提供を開始した。専門のデータベース(DB)から解析ツールまでが豊富に揃っていることが特徴で、とくにDNAチップ/マイクロアレイで発現解析を行ったあとの研究ステップに有効なソフトとして注目されているという。ポストゲノム研究の新領域を開く有力製品と位置づけて、来年に向けて販売攻勢をかけていく。

 CTCLSはここ数年、遺伝子の配列解析から発現解析までを統合的に行える独ライオン社のシステムを提供してきたが、最近ではDNAチップ/マイクロアレイによって突き止めた発現遺伝子に関してさらに解析を進めたり、逆に発現していない遺伝子についても考察を行ったりすることによって、新薬ターゲットを見つけ出すための幅広い情報を入手したいという要望が高まっているという。

 今回の独ジェノマティクスは、ドイツの国立環境保険研究所(GSF)からスピンアウトしたメンバーによって1997年に設立されたベンダーで、遺伝子制御領域に特化したソフトウエアの開発とサポートを行っている。遺伝子全体は、大きくコード領域と制御領域に分かれており、とくに制御領域のプロモーターは転写シグナルの重要なプロセスを支配しているため、同社のソフトウエア技術は遺伝子発現の分子メカニズムを解明する研究に役立つ。

 具体的には、実際にヒトゲノムのドラフト配列を解析した結果のDBである「ElDorado」(エルドラド)を提供。豊富なアノテーションが付加されており、約5万件のゲノム上の構成要素(エクソン、イントロン、UTRs、SNPs、リピートなど)、3万件以上のプロモーター構成要素(転写因子結合サイト、プロモーターモジュール)に関する情報を含んでいる。プロモーター領域は、実験的に立証されているデータを文献から1万件以上収録した。ヒト以外にも、マウスやラット、イネのDBも用意されるという。

 また、ElDoradoのオプションの「Chip2プロモーター」を使えば、マイクロアレイ上の大量の遺伝子リストからそのプロモーター領域を一度に抽出することも可能。

 一方、解析ツールは、制御領域解析のトータルパッケージである「GEMSランチャー」、ほ乳類のゲノム配列から抽出した特徴に基づいてポリメラーゼのプロモーター領域を特異的に予測する「プロモーターインスペクター」、独自のマトリックスライブラリーをもとに配列中の転写因子結合サイトを予測する「マットインスペクター」などがそろっている。高度なバイオインフォマティクスの知識や経験を必要とせず、簡単に条件を設定することで自動的に優れた解析結果を得ることができるという。