菱化システムがCCS事業で初のアジア進出

加CCGのMOEの販売権を拡大、中韓などで販売・サポート

 2002.12.09−菱化システムは、コンピューターケミストリーシステム(CCS)事業でアジア市場に進出する。加ケミカルコンピューティンググループ(CCG)との総代理店契約を拡張し、日本だけでなく、韓国・シンガポール・中国・台湾市場に対しても販売と技術サポートを担当していく。同社は1997年からCCG製品を日本に紹介しており、CCS事業は1987年から手がけているが、海外に向けての事業展開は今回が初めて。当面、現地に特別な組織を設ける予定はないが、今回の実績が拡大すれば、同社が多種類のCCS製品群を幅広く扱っていることからして、海外事業が大きく広がる可能性もある。

 CCGは、新薬開発などに役立つ統合型CCS製品「MOE」(商品名)を開発している。日本国内で60サイトを超える導入実績があり、菱化システムのCCS事業の中核商品に育ってきている。一般のパッケージソフトと違って中身がブラックボックスではなく、CCG独自のプログラミング言語“SVL”(サイエンティフィック・ベクター・ランゲージ)で記述されており、そのソースコードが開示されている。

 菱化システムはすでにSVLに習熟しており、通常の技術サポートはCCG側に頼ることなく国内で対応しているほか、ユーザーの要望に応えるかたちで外部プログラムをMOEと連携させるためのインターフェースを開発したり、新しい機能をMOEに組み込んだりするなど、SVLでの開発実績も豊富。例えば、菱化システムが独自に作成した機能として、遺伝的アルゴリズムを採用したQSAR(構造活性相関)解析、活性部位探索機能を利用した高速ドッキングシミュレーションなどがあるという。

 CCG側としても、現時点でアジア市場全体をサポートできる体制を持っていないため、実績のある菱化システムとのパートナーシップを拡張することが得策と判断したようだ。

 菱化システムに対しては、すでに今回の対象国の官庁や大学、民間企業などから5−6件の引き合いが寄せられている。当面は、現地で個別の販売活動を繰り広げる予定はないが、展示会などでの露出機会を増やしながら、現地市場の成熟度を見定めていく。