ダイキン工業が量子化学計算の最適環境構築サービスを開始

GAUSSIANを対象にLSFを適用、既存の計算機環境を1.8倍に高速化

 2003.01.31−ダイキン工業は、量子化学計算に関する最適な実行環境を構築する新しいサービスを「コンピューターケミストリーファーム」の名称で提供開始した。とくに、代表的な分子軌道法プログラムであるGAUSSIANを対象にし、現有のコンピューター資源で最大のパフォーマンスが得られるようにする。研究者はコンピューターの運用管理などを意識することなく、簡単に計算を実行し、ネットワークの最大性能を享受することが可能。同社のコンピューターケミストリーシステム(CCS)事業の新展開として注目される。

 GAUSSIANは、量子化学理論に基づく非経験的分子軌道法の代表的なソフトで、理論化学者を中心に国内にも多数のユーザーがいる。ただ、ネットワークの特定のマシンにジョブが集中したり、分子の大きさに見合った使用メモリー量の設定がふさわしく行われていなかったりすることも多く、全体のコンピューター資源が有効に活用されていない場合が多くみられたという。

 ダイキン工業は、カナダのプラットフォームコンピューティング社が開発したミドルウエア製品「LSF」を1995年から国内で販売しており、このノウハウを利用すれば、GAUSSIANの実行環境を飛躍的に改善できると判断、今回のサービスを企画した。

 LSFによって、各コンピューターの負荷が自動的に監視され、常に最適なマシンにジョブが割り振られる。また、ジョブ実行時の最適なメモリー設定も自動的に行われるほか、障害発生時の自動リカバリーも可能で、夜間に投入しておいたジョブがマシントラブルで異常終了してしまい、翌朝に計算をやり直すということもなくなる。最適なジョブスケジューリングにより160%の性能向上、メモリー量の自動設定で110%−200%計算時間が短縮される例もあるという。総合的には、同じ計算機資源のままでも、LSF導入で元の1.8倍の性能を引き出すことが可能になるとしている。

 ダイキン工業では、計算化学の専門家でなくてもGAUSSIANを簡単に使用できるようにするウェブインターフェースを開発しており、それも合わせて提供する。ユーザーは入力ファイルを作成してブラウザー画面からジョブを投入するだけ。あとは、LSFが自動的にジョブスケジューリングを行い、入力ファイルから最適必要メモリー量を算出し、計算時にメモリー最適使用量を自動的に設定してくれる。また、ジョブ実行中にはSCF(自己無撞着場法)計算の収束状況を通知してくれるため、数値を見て失敗しそうな計算をあらかじめストップさせたり、計算がいつごろ終了するかを推し量ったりすることが可能になる。

 今回のコンピューターケミストリーファームは、LSFのソリューションパッケージの形で提供されるサービス製品だが、とくに研究室単位などでの普及を促すため、ハードウエアとのセットでの提案活動も開始した。IBMのIAサーバーであるxシリーズ335を4台(8プロセッサー)の構成で800万円の特別価格で販売する。日本IBMの協力で実現した特別価格の適用は今年の2月末受注分まで。GAUSSIANが普及している大学の研究室などを中心に売り込みを図り、今年の3月末までに10セットの販売を目指していく。