インフォコムがADMEデータベース開発で米国に合弁設立

アブソープションシステムズと共同、今年の秋に第1弾

 2003.02.20−インフォコムは、新薬開発の効率化に役立つADME(吸収・分布・代謝・排出)関連事業を拡大するため、米国のADME試験受託機関であるアブソープションシステムズ(本社・ペンシルバニア州、パトリック・デンティンガー社長)と新しく合弁会社「ライトハウスデータソリューションズ」(本社・ペンシルバニア州、ロバート・ポールソン社長)を設立した。新会社は今年の秋までにADMEデータベース(DB)を構築して販売する。この分野の本格的なDB製品は今回がほぼ初めてであり、候補化合物のスクリーニングや新薬申請時のリファレンスデータとしての活用が期待される。

 新薬開発においては、非臨床フェーズ以降で体組織への吸収性がネックになる場合が多くみられることから、ここ数年は開発の初期段階で候補化合物のADME特性を調べてふるい落とす研究方法が世界的にも注目を集めている。インフォコムは、米シミュレーションズプラスや米シュレーディンガーのADME予測ソフトを販売しているほか、2000年からアブソープションシステムズと提携して受託試験の代理店を務めるなど、幅広く関連サービスを提供してきている。

 今回の合弁設立は、新しい事業に乗り出したいアブソープション側と、戦略子会社を増やしたいインフォコム側の双方の利益が一致したもの。資本金は588万ドルで、インフォコムアメリカが51%、アブソープションが49%を出資。役員会の構成は、ポールソン社長に加え、インフォコム側から2名、アブソープション側から2名となっている。社員数は11名でスタートした。売り上げとしては、2005年に12億円相当を目指していく。

 合弁会社の事業内容は、ADMEデータベース製品の開発および販売。インフォコムは、これらの日本を含めたアジア太平洋地域での独占販売権を持つことになる。DBの内容は、アブソープションがこれまでに手がけてきた既存のデータではなく、新しく試験をやり直してデータを集める予定。アブソープションのADME試験に関するノウハウを生かし、統一したプロトコルで定量性の高いデータを揃えていく。第1弾は今年の秋に製品化される予定で、以後も試験項目や対象化合物を増やしつつコンテンツの中身を拡充していく計画。第1弾での収録内容も現在のところは未定だが、3月末には詳細をさらに明らかにできるということだ。

 インフォコムは、ADME関連ではすでに国内でトップクラスのサービスメニューを取り揃えているが、今回のDBの投入を通して、この分野での地位をさらに強固なものにしたい考えである。