マイクロソフトがスマートディスプレイを正式発表

WindowsXPを離れた部屋から操作、新しい利用スタイルを提案

 2003.01.16−マイクロソフトは14日、WindowsXPパソコンを離れた部屋などから自由に利用できるようにするワイヤレスディスプレー「Windows Powerd Smart Display」(ウィンドウズパワード・スマートディスプレイ)を正式に発表した。同時に、NECおよびNECカスタマックスが実際の製品第1号「SD10」(9万9,800円)を発売。続いて富士通も今年のパソコン春モデルに合わせて製品化する予定。マイクロソフトでは、まずは新しい物好きのパワーユーザー向けに売り込み、価格が下がってくる2−3年後に一般消費者向けの市場が本格化すると見込んでいる。

 「スマートディスプレイ」は、ワイヤレスネットワークとタッチスクリーンを生かしたペン操作を特徴とする持ち運びに優れたディスプレー装置で、WindowsCE .NETを内蔵しており、ホストのWindowsXP Professionalの端末として働く。手書き入力やソフトウエアキーボード機能もあり、文書作成なども可能だが、基本的にはインターネットやメールの閲覧、音楽ファイルの再生などコンテンツを楽しむことがメインになる。ネットワークの帯域幅やグラフィック能力の制約から、動画再生やゲームをプレーすることはできない。

 WindowsXPのリモートデスクトップ機能を利用しているため、1台のホストで同時に1台の「スマートディスプレイ」しかサポートできず、「スマートディスプレイ」の利用中はホストのパソコンを使用することはできない。ただ、1台の「スマートディスプレイ」から複数台のホストを使い分けることは可能。同社では、次期ウィンドウズ「ロングホーン」(開発コード名)で、1台のホストから複数の「スマートディスプレイ」を同時にサポートする機能を実現する計画である。

 同社では、製品化に際して広範囲なベータテストを実施。その結果、テスターの半数以上が魅力的な製品だと評価し、3分の2以上がモバイル性を主な利点にあげたという。そこで、具体的な利用シーンとして、“リビングルーム”、“ベッドルームまたは子供部屋”、“キッチンやダイニングルーム”の3つを取り上げている。リビングでは、テレビをみながら番組中に出てきた事柄をウェブで検索して調べたり、家族みんなでディスプレーを囲んで旅行の計画を立てたり、写真を楽しんだりするなどの使い方ができる。また、ベッドルームや子供部屋では、寝転んでデジタル絵本を読んだり、リラックスした姿勢でパソコンを使用できる。キッチンでは、主婦がその日の献立をウェブで探し、そのレシピをみながら料理をしたりするなどの利用法が提案されている。同社では、ソフトメーカーやコンテンツプロバイダーと協力して新しい活用法を引き続き探っていく考えである。

 なお、実際に発売される製品だが、NECのSD10は10.4インチサイズの独立した周辺機器として販売される。すでにパソコンを所有しているユーザーに2台目のディスプレーとして売り込んでいく。キッチンなどでの使用を考慮して防滴仕様となっているほか、外部キーボードや外部ディスプレーをさらに接続できるなどの特徴がある。

 一方の富士通は、単体ではなくFMVデスクパワーとのセットモデルの形で製品化する予定。同様に10.4インチサイズになる模様で、春モデルとして発売されるとみられる。NECと富士通のどちらの製品形態がよく売れるか興味深いところだ。

 そのほかのメーカーでは、海外でビューソニックがすでに製品発表を行っているほか、ナショナルセミコンダクター、タータン、インテル、アボコム、トライジェム、フィリップス、ウィストロン、LGエレクトロニクスがハードウエアパートナーとして名を連ねている。