エンジニアス・ジャパンが協調設計プラットホームを製品化

ロバスト設計を可能にする統合設計環境、自動車分野ではNECと包括提携

 2003.07.05−エンジニアス・ジャパン(本社・横浜市港北区、加藤毅彦社長)は、分散した開発拠点とツール、ワークフローなどを統合し、企業間や部門間にまたがる協調的な設計環境を実現する基盤ソフトウエア「FIPER」(ファイパー)を製品化し、販売を開始した。米NIST(連邦標準技術局)プロジェクトとして開発されている技術で、10月から一般向けに出荷を開始する。とくに、自動車産業向けでは、NECと戦略提携を結び、日米で50名規模のタスクチームを組んでグローバルに売り込みを図っていく。国内では、向こう3年間に200システムの販売を見込んでいる。

 近年、製造業においては、設計・開発の期間短縮とともに設計品質向上が強く求められてきている。材料特性や加工条件などのばらつきを吸収し、“ロバスト設計”と呼ばれるシックスシグマレベルの製品品質(不良品発生率)を実現するためには、部品などのサプライヤーを含めた設計プロセスの改善が不可欠。とくに、部品レベルの部分最適が全体最適を損なうケースも多くなっており、設計プロセス全体を統合し、データや情報の流れをスムーズにすることが必要になってきているという。

 FIPERは、こうした背景のもとに成立したプロジェクトで、GEやGM、スタンフォード大学、NASAなどの15の企業・機関がコンソーシアムに参加。1999年末からスタートし、今年の末に終了する予定である。製品化はエンジニアス社が担当し、この7月からメンバー向けに早期リリースが開始されている。一般向けの出荷は10月からになる。価格は、年間ライセンスで850万円から。

 FIPER自体は、J2EEに準拠したプラットホーム製品で、中枢のACS(アプリケーションコントロールシステム)と呼ばれるサーバーソフトが、ネットワークに分散したリソース管理やワークフローによるプロセス制御、さらにはCAD/CAMやCAE、PDMなどの設計ツール群を統合するためのインターフェース機能やデータ交換機能を備えている。

 とくに、協調設計を実現するためのワークフローを簡単に作成することが可能。画面上でアイコンを連結させていくだけで、部門間や企業間に渡る設計業務の流れを設定できる。それぞれのモデルデータは統合・共有化されるので、全体最適を図りやすくなるというわけだ。J2EEの業界標準にのっとっているので、関連するアプリケーションを統合しやすいという特徴もある。

 一方、今回の提携により、NECはFIPERに関するSI(システムインテグレーション)サービスの提供から動作保証済みのハード・ソフトの販売までを総合的に行っていく。最終製品版に向けた機能・性能・操作性などの検証、開発作業にも関与していくという。また、各種アプリケーションを組み込むためのコンポーネント開発も共同で行い、ソリューションメニューの拡大を推進することにしている。