クライテリオン・ソフトウエアがゲーム開発用統合ソリューション

ゲーム制作の全工程を支援、30%以上のコスト削減を実現

 2004.02.06−キヤノングループのクライテリオン・ソフトウエア(本社・東京都目黒区、星野直彦社長)は4日、ゲーム制作専用の統合開発ソリューション「RenderWareスタジオ」を開発、初年度10本の限定で7日から発売すると発表した。クリエイターが使用する開発ツールからチームの意思疎通を図るためのコミュニケーションツール、工程管理・資産管理までプロジェクト全体をトータルにサポートできる。30%以上のコスト削減が可能だとしており、一般的な2億円規模のプロジェクトで、未導入の場合に比べて7,000万円の利益を生み出すことができるという。

 同社は、英国に本社を置く企業で、キヤノンヨーロッパが100%出資している。ゲーム開発用ミドルウエアに特化しており、三次元グラフィック描画エンジン「RenderWareグラフィックス」で9割のシェアを持っているという。これまでに世界で800タイトル(国内200タイトル)のゲームに採用されたが、外部の三次元エンジンを採用するゲームメーカーはまだ全体の30%ほどであり、今後の市場拡大が期待されるということだ。

 さて、今回の「RenderWareスタジオ」は同社初のソリューション製品で、グラフィックエンジンの「RenderWareグラフィックス」、物体の物理的挙動を描き出す物理シミュレーター「RenderWareフィジックス」、ゲームキャラクターにインテリジェントを持たせるAI(人工知能)エンジン「RenderWare A.I」、5.1チャンネル対応のサウンド開発ツール「RenderWareオーディオ」−といった各種開発環境だけでなく、プロジェクト管理や資産管理などの機能も包含し、企画からプロトタイプ制作、プログラミング、アートワーク、サウンド開発、マスターアップまでのゲーム制作工程全体をトータルに効率化できる。

 最大の特徴は、パソコン上で動作するRenderWareスタジオの開発環境が、各ゲーム機専用の開発環境とダイナミックにリンクしていること。例えば、レーシングゲームでコース上にジャンプ台や障害物などのオブジェクトを配置し、属性を設定したり、プログラムを埋め込んだりすると、プレイステーション2などの実際のゲーム画面ですぐにその挙動を確認することが可能。開発者は、簡単にプロトタイピングが行えるので、本来のゲームのおもしろさをデザインすることに注意を集中できるようになる。

 欧米では、昨年以来30タイトルのプロジェクトに採用されているが、国内では高水準のサポートを維持するために初年度10プロジェクトへの販売に限定する。対応ゲーム機はプレイステーション2、ゲームキューブ、Xbox、Windowsで、価格はプロジェクト当たり2,800万円。