コンフレックスがAMBER最新バージョンを発売

力場など拡充、理研MDGRAPE-2に正式対応

 2004.06.08−コンフレックス(本社・東京都新宿区、森下栄一社長)は、米カリフォルニア大学のピーター・コールマン教授らのグループによって開発された分子動力学法(MD)ソフトウエアの最新版「AMBER8」の販売を開始した。たん白質などの生体高分子を対象にした定番のソフトで、新しい力場の追加などの機能強化が施されている。コンフレックスでは、理化学研究所をベースにしたベンチャーである高速計算機研究所と提携し、AMBERでの計算を高速化するアクセラレーターボード「MDGRAPE-2」を組み合わせたかたちで、超高速なたん白質構造解析環境としても販売していく。

 AMBERは、たん白質モデリングのための構造データベースを持ち、溶媒分子の配置やチャージのフィッティングを行うなどのビルダーモジュールを多数用意している。動力学計算により、トラジェクトリー解析やNMR(核磁気共鳴)のリファインメントなどが可能。最新のバージョン8では、新しく4種類の力場を追加したほか、計算速度や並列化効率の面でも大幅なグレードアップが図られている。

 とくに今回新たに、理研の計算科学技術推進室で開発されたMD専用ボードMDGRAPE-2に対し開発サイドで正式対応した。これは、PCIバスに接続して使うアドオンボードで、1枚に4個の専用プロセッサーを搭載しており、理論性能で64ギガFLOPS、実効性能で50ギガFLOPSを発揮する。動作環境としては、Linux、AIX、ソラリスに対応している。

 コンフレックスは、これまで富士ゼロックスが開発した「MDエンジンII」をAMBERと組み合わせて販売していたが、、富士ゼロックスがこの事業をさきごろ中止したことに加え、MDGRAPE-2の方が10倍以上高速であるため、こちらを扱うことにしたという。