ヒューリンクスがケンブリッジソフト最新版をリリース

Chem3Dなど全製品が機能強化、生物向け新製品を追加

 2005.02.17−ヒューリンクスは、米ケンブリッジソフトが開発した化学者向け統合ソフトウエアパッケージの最新版「ChemOffice2005」の販売・出荷を開始した。構造式作図のChemDrawなど各種のデスクトップツールから構成されるスイート製品で、各ソフトがそれぞれバージョン9.0に機能強化されているほか、バイオアッセイデータ管理や試薬在庫管理などの新ソフトも追加されている。また今回、教育用のサイトライセンスが新設されたため、同社では大学などへの販売に力を入れることにしている。

 今回の新バージョンにおける既存製品の強化としては、まず分子モデリングソフトChem3D 9.0に“ChemDrawパネル”が組み込まれたことがあげられる。ChemDrawの機能が内蔵されたかたちになっており、二次元の構造式を作図していくと、自動的かつリアルタイムに三次元モデルが組み上がっていく。部分構造の豊富なテンプレートが使えるので、複雑な三次元構造も手早く作成することができる。

 ChemDraw 9.0では、フラグメンテーションツールの新機能として、分子構造の任意の結合を切断すると、その部分を反応点とする反応式を自動的に生成する機能が追加された。化学合成の前駆体が自動描画されるわけで、反応式は合成と逆合成の両方を描き分けることができる。

 電子実験ノートのE-Notebook 9.0も機能強化され、かなり使いやすくなったという。テンプレートが付加され、ノートの作成効率が大幅に向上するとともに、検索機能も強力になっている。

 一方、今回から追加された新製品のBioAssay 9.0は、生物学的アッセイのプレートリーダーからアッセイデータを読み込んで、プレート単位で大量のデータを効率良く管理することができる。データベースはSQLサーバーで管理されており、データの読み込み・解析・グラフ化のためのテンプレートを作成しておけば、大量のデータでも読み込むだけで一連の処理を自動実行。アッセイデータを構造活性相関などの解析に利用することも容易に行える。

 また、もう1つの新ソフトであるInventory 9.0は、研究室の試薬の所在や在庫量、購入元などの情報を効率的に管理できる。部分構造式で試薬を検索することも可能。

 BioAssay 9.0とInventory 9.0を含めた生物学者向けスイートパッケージ「BioOffice」も今回から製品化されたが、米国版ではこのスイートに入っている「BioDraw」は日本語のWindows環境で不具合が発見されたため、発売が見送られた。このソフトは、ケンブリッジソフトが解散したパラセル社から買い取った製品を、名前を変えて販売するもの。現時点では、バージョンアップの予定がないため、日本市場においては幻のソフトとなりそうだ。

 なお、今回の各製品の最新バージョンの価格はオープンだが、前バージョンからほぼ据え置きとなっているという。新設の教育用サイトライセンスだが、学生数が2,500人までのSライセンス、7,500人までのMライセンス、それ以上のLライセンスの3つに分かれている。いままでは教育用途だけの有利なライセンスが存在しなかったため、国内でも関心を集めそうだ。