プロウスサイエンスが医薬研究支援ポータル「インテグリティ」を機能強化

創薬ターゲットに着眼して関連情報にアクセス、契約実績が急伸

 2005.05.19−スペインのプロウスサイエンスと国内代理店のユサコは、医薬品研究開発を支援するインターネットベースの総合情報サービス「インテグリティ」の機能を大幅に強化した。創薬ターゲットの切り口で薬物情報や薬物動態/代謝、治験、疾病情報、文献、特許などの広範な知識にワンクリックでアクセスすることが可能になったため、有用性が高まった。昨年から本格的に国内で紹介を開始し、すでに30機関との契約実績をあげているが、今後は大手製薬企業だけでなく、さらにバイオベンチャーや大学(薬学部・医学部)などへの導入を狙っていく。将来的には3ケタの契約数を目指す。

 インテグリティはインターネットで利用できる契約式のポータルサイトで、年間300以上開かれる大小の学会で発表された情報や、年間1,500誌以上の学術雑誌、日米欧をはじめとする世界11の特許庁からの関連情報、監督官庁からの最新情報、広範囲な企業情報などをもとにした医薬品研究開発のためのトータルコンテンツサービスを提供している。

 すべての情報は、「薬剤/生物活性化合物」、「ターゲット」、「有機合成」、「実験薬理学」、「薬物動態/代謝」、「治験」、「各疾病の概説」、「企業と市場」、「文献」、「特許」−の10項目に大分類されており、相互に完全なリンクが張られている。このため、どの切り口で検索していても、関連するすべての情報を瞬時に参照することができる。

 今回の機能強化の最大のポイントは、「ターゲット」の切り口で情報がまとめ直されたこと。ターゲット情報は全部で約2,500件が登録されており、ターゲット検索の画面に入ると、ターゲットや医薬品、文献、特許などの項目で詳細検索を行うことができる。具体的な創薬ターゲットは、RECEPTORS、ENZYMES、ION CHANNELS、TRANSMITTER-GATED CHANNELS、CARRIERS、CYTOKINES、GROWTH FACTORS、HORMONES、NEUROTRANSMITTERS、NEUROTROPHIC FACTORS、TRANSCRIPTION FACTORS、TRANSLATION FACTORS、ADHESION MOLECULES、LIPOPROTEINS、STRUCTURAL PROTEINS、OTHER PROTEINS、OTHER TARGETS−の項目に分かれており、さらにそれぞれに細分化されたターゲットリスト(例えばRECEPTORSのGPCR)がプルダウンして簡単に選択できる。

 インテグリティ内のすべての情報がリンクしているため、調べているターゲットが関係している疾病、他のターゲット、医薬/化合物、遺伝子情報、文献、特許情報などを簡単に引き出すことができる。研究の中で調査や検索にかける時間を大幅に削減し、研究者が創造的な業務に専念できるようにしてくれる。

 インテグリティの契約は昨年に急速に伸び、現在では全国30機関が導入済み。大手製薬企業にはほぼ一巡したが、代理店のユサコでは今後はバイオベンチャーや大学などへのアプローチを強めていく計画。インテグリティは企業やマーケットに関する情報も豊富に収録しているため、専門的な観点から創薬企業の強みや特徴を分析することが可能。大学にとっては産学連携のパートナー探しに利用することもでき、実際にそうした目的で導入した大学も出てきているという。

 また、プロウスサイエンスでは、医薬品に関する世界中の特許情報を毎日更新する新サービス「デイリードラッグパテント・ドットコム」を提供する準備を進めており、今年度中にはスタートする予定。これも合わせて、紹介に力を入れていく。