富士通九州システムエンジニアリングが薬物動態DBのASPサービス

世界最大級のP450関連情報を提供、ブラウザーから柔軟な検索が可能

 2005.08.01−富士通九州システムエンジニアリング(FQS)は、医薬品研究開発に役立つ薬物動態データベース(DB)のASP(アプリケーションサービスプロバイダー)サービスを、きょう1日から提供開始する。薬物代謝酵素として代表的なチトクロームP450の代謝情報やキネティックパラメーター情報、トランスポーターの基質・阻害情報などをインターネット経由で検索できる。網羅的に情報が収集されていることが特徴で、目的の医薬品の薬物動態関連情報を広範かつ詳細に調べることが可能。年間使用料金は、10ユーザーで150万円から。

 今回、ASPサービスで提供するのは、FQSが開発したADME(吸収・分布・代謝・排出)関連DBで、クロアチアのザグレブ大学のレンディック教授との独占契約によって、質・量ともに世界最大級のP450関連情報を集めたもの。すでに、100%子会社のFQSポーランドを通して海外の製薬企業などに同DBを販売した実績があるが、国内においてはASP形式で事業を行うことにした。

 製薬業界では、新薬の開発や市販後において、自社化合物の類似製品や併用の可能性のある医薬品の薬物相互作用情報を検討するため、医薬品に関する薬物動態の情報を広く収集することが重要とされる。ただ、それらの情報は大量の文献の中に埋もれているため、製薬企業にとって非常に時間のかかる作業となっていた。

 今回のASPサービスでは、ウェブブラウザーで手軽に情報収集を行うことが可能。具体的には、抗炎症剤や抗うつ剤などのカテゴリー、サイトカインやHIVプロテアーゼインヒビターなどのサブカテゴリー、薬物名、インヒビターやアクティベーターなどの作用タイプ、P450名またはトランスポーター名などをキーワードにして、選択条件やキーワードごとの抽出条件を自由に組み合わせて、柔軟に検索を行うことができる。

 検索結果は一覧として表示されるが、詳細情報としてたん白質(P450またはトランスポーター)情報、薬物名とその構造式、代謝物とその構造式、文献情報、PubMedへのリンクなどが得られる。また、キネティック情報としてはミカエリス定数、最大代謝速度、阻害剤解離定数、協同性、消失半減期などのパラメーターを知ることができる。

 ASPサービスであるため、ユーザーにとっての利便性が高いことに加えて、専門のデータセンターで運営するため、セキュリティ面もまったく心配ないという。

 きょうから提供開始したのは、ヒトP450代謝DB、ヒトP450代謝キネティックデータオプション、ヒトトランスポーターDB−の3種類のコンテンツだが、同社では継続的にコンテンツ拡充を図る考えで、新しいDBやサービスメニューの追加などにも積極的に取り組んでいくことにしている。