2005年秋のCCS特集:Elsevier MDL

新薬開発の横断的プラットホーム、ソリューション戦略が加速

 2005.12.08−Elsevier MDL(エルゼビアMDL)は、新薬開発プロセスを網羅するインフォマティクスプラットホーム「Isentris」を提供するとともに、その上で利用できる具体的なアプリケーションやソリューションを重視した戦略を構築。インターネットを介して利用できる情報サービス「ディスカバリーゲート」ともシームレスな連携を実現しており、製薬企業の研究開発業務を多面的に支援できる。

 同社の基盤製品であるIsentrisは、11月に最新バージョン1.4がリリースされた。これは、新薬開発にともなうさまざまなアプリケーションやワークフローを統合するプラットホーム製品で、業界標準のフレームワークがコンポーネントとして実装されているため、開発環境としても以前の製品である「ISIS」を上回るものとなっている。

 Isentrisへの移行を促すことが同社の基本戦略となるが、それに際しては具体的なソリューションを前面に押し出す作戦。すでに、試薬在庫管理を行う「MDLロジスティクス」、バイオロジー情報を扱う「MDLプレートマネジャー」、電子実験ノートブックの「MDLノートブック」の提供を開始した。

 これらは、Isentris上で利用したいソリューションとして、実際にユーザーの要望に基づいて開発されたもの。ソリューション同士が相互に連携できることも特徴となっている。

 とくにMDLロジスティクスは、化学物質の取り扱いで日本の法令に準拠していることや、国内特有の試薬購買のワークフローに対応する必要があることなどから、あるユーザーとの共同開発に近いかたちで日本語版の開発を進めている。また、MDLノートブックも競合の多い製品分野だが、電子実験ノートの長年の実績や、Isentris上でさらに使いやすく、より幅広い情報を扱えるようになったことなどを訴えていく。

 他のベンダーが開発したアプリケーションを統合するためのパートナー戦略も進展しており、来年に向けての飛躍が期待されるところだ。