CCS特集2006年春:ケンブリッジソフト

日本市場で活動強化、エンタープライズ製品普及へ

 2006.06.30−「ChemDraw」など化学者向けのデスクトップツールで知られる米ケンブリッジソフトは、アジア太平洋地域での事業拡大を積極的に目指す方針を打ち出し、将来の法人設立も視野に入れ、日本市場での活動を大幅に強化した。

 とくにエンタープライズ製品の立ち上げを図る方針で、代理店の富士通などと協力し、電子実験ノートブック製品である「E-Notebookエンタープライズ」の普及に全力をあげていく。

 実験ノートを電子化することは、作成効率が向上するだけでなく、情報共有の効果が大きい。検索も簡単なので実験の繰り返しなどのムダを省くことができ、コスト削減にもつながるという。

 とくに、同社はこの分野のパイオニア的存在であり、本格運用の事例も抱負。メルクやアストラゼネカ、グラクソ・スミスクライン、アボットなどは1,000ユーザー以上の規模でE-Notebookを実務で利用中。多くの研究者が慣れ親しんだChemDrawの強みもあり、有機合成部門だけでなく、生物や分析、前臨床など研究所内の幅広い組織に適応したトータルプラットホームとして採用されることもめずらしくない。

 また、試薬データベース(DB)の「ChemACX」も国内市場に向けた戦略製品の1つ。エルゼビアMDLが提供している「ACD」の対抗製品だが低価格なことが特徴。本来は、ケンブリッジソフトの「ChemOffice」から利用するDBだが、構造情報をSDファイルで、カタログ情報をアクセス形式で出力することができるため、他社製品にインポートして利用することもできる。これにより、データの中身の良さを体感してもらいたいという。

 今後は、日本の試薬会社のデータの収録も増やしていく。