CCS特集2006年春:日本電子/日本電子データム

メタボローム解析でNMR活用、日本医科大学と初の専用ソフト

 2006.06.30−日本電子と日本電子データムは、NMR(核磁気共鳴)でのメタボローム解析ソフト「ALICE2 for Metabolome」を昨年10月に日本医科大学との共同研究の成果物としてリリースした。生の代謝物・混合物を解析する新しいアプローチとして、製薬会社などから活発な引き合いを得ている。

 これは、代謝物を調べるために尿や血液などをそのままNMRにかけてスペクトルを測定するという手法で、薬物開発や医療の診断に利用できるとして注目されはじめているもの。

 測定器はプロトンNMRであるため、溶液であればほぼそのまま試料にすることができるので、サンプル調整の手間もかからず、オートサンプラー装置と組み合わせればハイスループットでの多検体解析が可能。

 混合物の重なり合ったスペクトルパターンをそのまま多変量解析で処理し、クラスタリングを行う。これに基づき、スペクトルの全体パターンからクラスを予測できる。

 病気の進行が緩和されている時期や逆に急伸している時期、また発作を起こした状態など、それぞれのケースでの代謝物を解析することで、スペクトル自体を病態と関連づけるマーカーとすることが可能。培養細胞に対する薬物動態を時系列順に測定していくことで新薬開発にも応用可能。代謝全体のパターンをみるので、一つひとつのバイオマーカーでは追いきれない複合的な現象を捕そくすることができる。

 今回の製品はそのための初の専用ソフトとして注目されており、製薬企業からの共同研究の申し出もあるようだ。

 また、昨年4月から産業技術総合研究所とNMRメタボロミクスの共同研究が2年の予定で進んでおり、その成果も随時反映させていくことにしている。