CCS特集2006年春:物質・材料研究機構

12種類の国産DBサービスを提供、物性推算機能を統合

 2006.06.30−物質・材料研究機構(NIMS)は、実際の材料開発などに役立つ12種類の国産データベース(DB)サービスを統合した「MatNavi」をインターネット上で提供している。本格的にスタートしてこの3年間で、登録者数は74ヵ国/6,800機関から2万人(国内1万5,000人、海外5,000人)を超え、知名度も着実に向上。継続的なデータの更新・追加を行ってきたほか、サイトのトップページを刷新し、わかりやすさ・つかいやすさも大幅に高めた。

 とくに、高分子DBの「PolyInfo」は高分子の名称・構造・物性・モノマー情報・重合データなどを体系的に収録したもので、データ件数はポリマーで1万2,000件、モノマーで6,500件。物性データに関しては、すべてのポリマーの測定値を集めることは難しいため、物性推算機能を統合していることが特徴。ガラス転移温度や誘電率などの基本物性5種は、あらかじめ計算結果をDBに登録してあるほか、パラメーターがあれば未登録ポリマーに関してもインターネット上で物性推算を行うことが可能である。

 今後は、高分子DBとして、現在のホモポリマーだけでなく、ブロックコポリマーにも対応することを検討したいという。

 一方、昨年4月に12番目のサービスとしてスタートしたのが複合材料熱物性予測システム「CompoTherm」。MatNaviに収録された高分子・合金・セラミックスのデータを利用して、複合材料としての熱物性を予測するもの。

 推算は、計算が速い解析的な方法と、フィラーの形状やサイズなどの細かな設定も可能な数値的な方法の両方から選択することができる。物性推算の理論体系を解説したナレッジベースを備えているので、教育的な価値も高い。