マイクロソフトがWindows CCS早期普及へ新戦略

PCクラスター環境でエクセル計算を実行、慣れ親しんだ操作感実現

 2006.05.17−マイクロソフトは、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)市場への新規参入を目指す「Windowsコンピュートクラスターサーバー2003」(Windows CCS)の早期普及を図るための新戦略として、オフィスソフトの次期バージョン「2007 Office」との連携ソリューションを開発した。エクセルの計算エンジンを大規模なシミュレーションに利用できるようにするもの。 Windows CCSは、Linuxよりも簡単にPCクラスターを構築・管理できることが特徴だが、科学技術計算分野を中心にした第3者アプリケーションの移植を推進するとともに、同社独自のOffice連携を実現することで、新しいユーザー層の取り込みを狙っていく。

 Windows CCSの最新の開発状況によると、英語の製品版は6月から出荷開始、日本語版も8月後半には登場する模様となっている。

 今回開発したOfficeとの連携ソリューションは、今年の秋にバージョンアップ予定の「2007 Office」に合わせたもの。とくに、エクセルをサーバーで動かす機能“エクセルサービス”が初めて提供されるが、これをWindows CCSに対応させる。ユーザーはブラウザー上にエクセルのワークシートを表示させて編集などを行い、計算だけをサーバーで高速に実行させることが可能。

 実際、モンテカルロ法など、エクセルで複雑なシミュレーションを行っているユーザーは少なくないという。 Windows CCSでPCクラスターの並列処理環境を利用することにより、パフォーマンスの大幅な向上が期待できる。多くのユーザーが普段から慣れ親しんでいるエクセルが窓口になるため、斬新な使用感が実現される可能性がある。また、PCクラスターに新しいユーザー層を呼び込むことにもつながるとみられ、その成果が注目されるところだ。

 同社では、同志社大学と協力して「Windows HPCコンソーシアム」を設立し、Windows CCS向けハード・ソフトの検証体制を用意するなど、本格出荷へ向けた諸施策を着々と実施。HPC市場でのポジションを早期に固めたいとしている。